パナマ経済(2019年2月報)
平成31年3月11日
在パナマ日本国大使館
担当:淡輪書記官
TEL:507-263-6155
FAX:507-263-6019
担当:淡輪書記官
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主な出来事
●フィッチ・レーティング社は、パナマの格付を「BBB」及び投資見通しを「安定的」と据え置く旨発表。
●欧州委員会は、ブラックリスト案を発表し、対象としてパナマが掲載された。
●経済財務省は、2018年12月末時点の財政赤字額は13億39百万ドルで、同年の予想名目GDP比2.0%となる旨発表。
●パナマ自動車販売協会は、2018年の国内新車販売台数が50,874台となった旨発表。
●パナマ運河庁理事会は、リカウルテ・バスケス氏を次期パナマ運河庁長官として任命することを決定。
1.経済全般、見通し等
(1)フィッチ・レーティング社によるパナマの評価大手格付け機関フィッチ・レーティング社は、パナマの格付を「BBB」及び投資見通しを「安定的」と据え置く旨発表。同社はパナマのGDP成長率を2019年5.8%、2020年5.5%と見通しており、引き続き高成長であること及び低位安定するインフレ率を高く評価した一方、財政赤字の拡大、不動産の供給過剰及び米中貿易紛争による影響等を不安材料として挙げた。
(2)欧州委員会によるブラックリスト案の発表
欧州委員会は、テロ資金やマネーロンダリング(資金洗浄)対策が不十分で危険と判断した国・地域を掲載したブラックリスト案に、パナマを含め、サウジアラビア、ナイジェリア、アフガニスタン、アメリカサモア、グアム、イラク、リビア、プエルトリコ、サモア、米領バージン諸島の11か国を追加する旨発表。本リスト案は今後欧州議会に提出され、EU加盟国にて承認の是非について協議される。
(3)「トランスペアレンシー・インターナショナル」による「汚職番付」の発表
世界の汚職や腐敗を監視するNGO「トランスペアレンシー・インターナショナル」は、2018年「汚職番付」として、パナマは93位(37点)である旨発表。対象180カ国・地域の清潔度を指数(最高100点)で示した調査で、中南米主要国は今年も軒並み下位にランクされた。なお、最も「クリーン」だったのはデンマーク(88点)で、日本は18位(73点)。中南米では、ウルグアイが23位(70点)でトップ、27位チリ(67点)、61位キューバ(47点)、70位ジャマイカ(44点)、85位アルゼンチン(40点)、パナマ93位と続く。
(4)デル・モンテ社によるバナナ輸出の開始
デル・モンテ社が運営するバナピーニャ社は、2月よりチリキ県バルー地区の農園から第一陣として米カリフォルニア州向けにバナナの輸出を開始。2019年の輸出額は10百万ドル程度となる見込み。
(5)トルコ航空によるイスタンブール・パナマ便の増便
トルコ航空は、2019年9月より、イスタンブール・パナマ便を現行の週3便から週4便に増便する予定である旨発表。
2.経済指標
(1)2018年末時点の財政赤字額経済財務省は、2018年12月末時点の財政赤字額は13億39百万ドルで、同年の予想名目GDP比2.0%と先般改正された財政責任法における上限2.0%に収まる旨発表。歳入は128億16百万ドルで前年比3億74百万ドル(3.0%)増、歳出は141億55百万ドルで同5億53百万ドル(4.1%)増。景気減退による各種税収の減少及びインフラ等への歳出増加等により財政赤字額は増加したが、運河庁及び各公社からの配当金等の国庫納付及びクリスマス商戦による税収増加等により、上限規定を下回った。
(2)2018年の新車販売状況
パナマ自動車販売協会(ADAP)は、2018年1月~12月の国内新車販売台数が50,874台で、前年比6,031台(10.6%)減少した旨発表。なお、国別占有率は、(1)日本車58.4%、(2)韓国車28.0%、(3)米国車7.3%、(4)欧州車5.8%、(5)中国車0.4%、(6)その他0.1%。昨今の経済減速や購入者の消費傾向の変化等を受け、2017年に続き、前年割れとなった。なお、1月~10月は前年同月割れが続いたが、11月及び12月は前年を上回る販売実績となった。
(3)2018年の新規法人登記数
会計検査院は、2018年の新規法人登記数が21,871社で、前年比6,484社(22.9%)減少した旨発表。直近の最多は2015年の39,909社であるが、パナマ文書問題による風評及び法人設立基準の引き上げ等を理由に、以降毎年減少傾向にある。
(4)2018年のコロンフリーゾーン取扱高
会計検査院は、2018年1月~12月のコロンフリーゾーン取扱高が205億81百万ドルで、前年同期比9億34百万ドル(4.8%)増加した旨発表。輸入額は97億73百万ドルで同6.3%増加、再輸出額は108億8百万ドルで同3.6%増加。輸入先は中国が32億27百万ドル、再輸出先はプエルトリコが16億18百万ドルでトップ。取扱高は近年増加傾向にあるものの、コロンビアとの貿易紛争やベネズエラの政情不安等により、直近ピークの2012年実績(300億ドル超)には届かない状況が続く。
(5)2018年の建設許可金額
会計検査院は、2018年1月~12月の建設許可金額が13億11百万ドルで、前年同期比8億33百万ドル(38.9%)減少した旨発表。総額の内、住宅部門は7億96百万ドルで同40.6%減少、非住宅部門は5億15百万ドルで同36.0%減少。
(6)2018年のインフレ率
会計検査院は、2018年のインフレ率は0.8%と発表。原油価格が安定推移したことも抑制の大きな要因の一つ。なお、2018年12月の消費者物価指数は104.7(2013年=100)で、前年同月比0.2%上昇、前月比0.4%下落した旨発表。
(7)2018年のコンテナ取扱量
パナマ海事庁は、2018年1月~12月の国内港湾でのコンテナ取扱量が7,014千TEUで、前年比116千TEU(1.7%)増加し過去最高を記録した旨発表。但し、2017年は同10.1%増加しており、伸び率は鈍化した。大西洋側のクリストバル港、コロン・コンテナターミナル及びマンサニージョ港が好調で、3港合計は4,324千TEUで同434千TEU(11.1%)増加し、2017年に続き中南米でトップ。他方、太平洋側のバルボア港及びロドマン港の2港合計は2,663千TEUで同324千TEU(10.8%)減少し、中南米で4位と2017年から1つ順位を下げた。なお、2位は伯サントス港で4,122千TEU、3位は墨マンサニージョ港で3,079千TEUの見込み。
(8)2018年の輸出総額
会計検査院は、2018年1月~12月の輸出総額が6億72百万ドルで前年同期比12百万ドル(1.9%)増加した旨発表。オランダ、米国、中国向けがトップで、バナナ(1億6百万ドル)、金属スクラップ(71百万ドル)、スイカ、パ木材(45百万ドル)、その他果物、魚介類の輸出が好調であった。2019年は、コブレ・パナマ・プロジェクトによる銅輸出やバナピーニャ社によるバナナ輸出により、大幅増加が見込まれる。
3.通商、自由貿易協定、国際経済関連
(1)サイン・マロ副大統領兼外務大臣の米国ワシントン訪問4日、サイン・マロ副大統領兼外務大臣は、米国ワシントンを訪問し、ポンペオ米国務長官及びムニューシン財務長官とそれぞれ会談した。経済面について、ムニューシン財務長官は、米国財務省は、パナマの金融プラットフォームの高度化及び新たな法律の制定及び実効に関する同国の進捗を緊密にフォローしている旨述べた。また、これらの規範が実行されるための米国側の用意を表明した。
(2)バレーラ大統領のパラグアイ訪問
14日、バレーラ大統領は、パラグアイを訪問し、ベニテス・パラグアイ大統領と首脳会談を実施した。経済面について、バレーラ大統領は、海外投資を促進するためのパナマの比較優位性及び多様なインセンティブについて説明し、パラグアイ企業の誘致を呼びかけた。更に、パナマの地理的位置及び貿易を容易にする複数のプラットフォームによって、パラグアイからカリブ海、ヨーロッパ及びアジアへの再輸出に向けた物流の架け橋になるなど、パナマが国際貿易で果たす役割について強調した。一方、ベニテス大統領は、再生可能エネルギーの世界最大の生産国であり、高級食肉の主要な生産国の一つであるパラグアイにとって、パナマの物流プラットフォームの利用は新たな市場拡大に繋がる旨言及した。また、観光分野では、両国首脳は、両国観光客の行き来に加え、アジア及びヨーロッパからの観光客向けの旅行先の多様化という観光フォーマットを強化するべく、パナマ・パラグアイ間の航空の接続性強化の可能性について協議した。
4.パナマ運河
(1)次期パナマ運河庁長官の決定15日、パナマ運河庁理事会は、リカウルテ・バスケス氏を次期パナマ運河庁長官として任命することを決定した。キハーノ現長官は本年9月3日に退任し、翌4日にバスケス氏が新長官として就任する。また、ベニテス現副長官も本年12月31日をもって退任するが、マロッタ現同庁通航事業局長を来年1月1日より後任の副長官とすることも決定した。
(2)通航船舶の喫水調整
昨年11月末以降、パナマ運河流域における降雨が例年より少ないため、パナマ運河を通航する船舶の喫水調整が必要な状況となった。対象となるのは第三閘門を通航するネオパナマックス船であり、通常、同閘門では最大で50フィートまでの喫水が許容されているが、2月11日に第1回目の調整(49フィート以下に制限)が、同月27日に第2回目の調整(同48フィート以下)が開始された。今後も更なる喫水調整が行われる見込みであり、3月13日に第三回目の調整(同47フィート以下)、同月29日に第四回目の調整(同46フィート以下)の開始が予定されている。なお、これらの調整により規定された喫水を超える船舶が到着した場合、通航時点のガトゥン湖の実際の水位に応じて通航の可否が判断される。
5.インフラ関連
(1)シノラム・スマート・エナジー社によるLNG火力発電所建設シノラム・スマート・エナジー社(上海ゴージャス社出資)は、現在コロン県にて建設中のLNG火力発電所(発電容量441MW)の工事進捗率が28%で、2021年中旬の運転開始を予定している旨発表。なお、タービンを製造する独シーメンス社とは15年間のメンテナンス契約を締結したことも併せて発表した。
(2)メトロ1号線延伸区間建設計画に係る入札
15日、メトロ公社は、入札参加資格を有する5者よりメトロ1号線延伸区間建設計画の入札提案書を受領した。その後、同提案に基づく技術評価が30営業日中乃至は延長要求があった場合には20営業日が追加された期間中に行われる。
6.経済指標は別添資料をご参照下さい。
- 主要経済指標(2019年2月)(Excel)
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