パナマ経済(2017年11月報)

平成30年1月4日
在パナマ日本国大使館
担当:淡輪書記官
TEL:507-263-6155
FAX:507-263-6019

主な出来事
●IMFは、GDP成長率見通しとして、本年は5.3%、2018年は5.6%と発表。
●パナマと中国の外交関係樹立後初となる、バレーラ大統領と習近平中国国家主席による首脳会談が行われた。
●中国国際航空は、2018年3月より北京・パナマシティ直行便(ヒューストン経由)を週2便就航させる旨発表。

1.経済全般、見通し等

(1)IMFによるGDP成長率見通しの発表
 IMFは、2017年~2018年の2年間のGDP成長率見通しとして、2017年は5.3%、2018年は5.6%と発表。2018年の成長率が2017年比で上昇する要因として、国際経済改善に伴うパナマ運河の通航隻数増加、トクメン国際空港第二ターミナル完成等を挙げた。
 
(2)ラテンアメリカ開発銀行による融資枠設定
 ラテンアメリカ開発銀行(CAF)は、パナマに対し2億50百万ドルの融資枠を設定することを決定。資金使途は、政府機関の近代化と透明性強化及び官民パートナーシップによる新規プロジェクト推進としている。なお、ラテンアメリカ開発銀行は、2012年から2016年までに合計20億74百万ドルの融資枠を承認している。
 
(3)米州開発銀行による経済評価
 米州開発銀行(IDB)は、直近10年間のパナマのGDP成長率が7.2%で、今後5年間での成長率見通しは5.2%とラ米諸国の平均2.4%を大きく上回る旨、パナマ経済の柱は、運河、金融及び観光であるが、今後は農業分野の成長を促進し、教育レベルを高めることが必要である旨指摘した。
 
(4)中国国際航空によるパナマ・中国間の直行便就航
 中国国際航空は、2018年3月より北京・パナマシティ直行便(ヒューストン経由)を週2便就航させる旨、また同社はパナマに中米地域事務所を開設する旨発表した。

2.経済指標

(1)2018年の国家予算
2018年国家予算が11月14日付け官報に掲載された。予算額は前年比21.9億ドル増の238億6,787万4,654ドル。
 
(2)1~9月期の新車販売台数
 会計検査院は、1月~9月の新車販売台数が42,514台で、前年同期比6,545台(13.3%)減少した旨発表。
(3)1~9月期の月間経済活動指数
 会計検査院は、1月~9月の月間経済活動指数(IMAE)が前年同期比5.6%増加し、直近では2013年の同期(7.8%)に次ぐ伸びであった旨発表。主に運輸業・倉庫業、通信業等が好調であった。
 
(4)9月末時点の公的債務残高
 経済財務省は、9月末時点の公的債務残高が233億80百万ドルで、前年同月比17億90百万ドル(8.3%)増加した旨発表。
 
(5)8月期の基礎食料品バスケット
 経済財務省は、8月期の基礎食料品バスケットが$303.45で、前月比$1.28(0.42%)増加した旨発表。

3.通商、自由貿易協定、国際経済関連

(1)バレーラ大統領による中国訪問
 17日、パナマと中国の外交関係樹立後初となる首脳会談が中国人民大会堂において行われ、バレーラ大統領と習近平中国国家主席は、両国民の幸福のため二国間関係のさらなる強化へ向けて努力を促進することに合意し、新しい同盟への歓迎の意とコミットメントを表明した。両首脳は、共同宣言を含む20に及ぶ文書の交換に立ち会い、経済及び貿易分野では、投資促進、開発及びインフラプロジェクトへの融資、並びにパナマから中国への輸出拡大の基礎となる政策に関して合意した。
 
(2)中国での企業フォーラム開催
 18日、北京において、PROINVEX(パナマ貿易投資促進機関)と中国国際貿易促進委員会は、「パナマ、偉大な接続」と題した第一回パナマ・中国企業フォーラムを共同開催し、中国の企業家200名以上が出席した。アロセメナ貿易産業大臣、中国貿易担当機関代表、中国ファーウェイ社及びChina State Construction Engineering社の幹部等が演説を行った。パナマ側はバレーラ大統領、サイン・マロ副大統領兼外務大臣及びエスコバル駐中国パナマ大使が、中国側はZhong商務部部長等が出席した。

4.パナマ運河

 17日、パナマ運河庁は、10隻のネオパナマックス船を通航させる試みを実施した。現在、ネオパナマックス船が通航可能な拡張運河(第三閘門)の予約スロットは1日当たり6隻であるが、同庁では、12月1日から7隻に、来年1月1日から8隻に増加させることを計画中である。キハーノ同庁長官は「航路上のいくつかの改善点を完了し、1日当たり8隻への増加を達成するとともに、2019年~2020年には10隻まで増加させたい」旨発言した。
 

5.インフラ関連

(1)コレドール・ノルテ、スルにおける公共バス運賃の値下げ
 陸運局は、9日よりコレドール・ノルテ、スルにおいて、Mi Busが提供する公共バスサービスの運賃を1ドル25セントから75セントに値下げする旨発表した。なお、同値下げ措置は、両道路におけるバス優先レーン設置等の改善及びメトロ2号線開通までの時限的な措置である。
 
(2)汎アメリカン・ハイウェイ拡張計画
 8日、汎アメリカン・ハイウェイの拡張(6車線化)計画の第1フェーズ(ラ・チョレーラ-サンタ・クルス間)について、FCC社(スペイン)及びCicsa社(メキシコ)が組むコンソーシアムが受注することが決定した。また、同9日には同計画の第2フェーズ(サンタ・クルス-サン・カルロス間)に係る評価がなされ、同コンソーシアムは技術面で最高点(58点中52.67点)を獲得した。
 
(3)アライハンにおける下水処理プラント建設計画
 保健省が実施するアライハンにおける下水処理プラント建設計画について、FCC社(スペイン)を含むコンソーシアムが請け負うこととなった。同計画に要する費用は1億2,045万ドルであり、ラテンアメリカ開発銀行(CAF)とパナマ政府が資金調達を担う。
 
(4)パナマ運河第四架橋建設計画
 約20億ドルの事業費が見込まれるパナマ運河第四架橋建設計画に関し、アロセメナ公共事業大臣は、今年中の入札評価の完了を期待する旨述べた。現時点で建設開始日は未定である。
 

6.経済指標は別添資料をご参照下さい。