パナマ経済(2016年3月分月報)

平成28年4月22日
在パナマ日本国大使館
担当:大森書記官
TEL:507-263-6155
FAX:507-263-6019

主な出来事
● 4日、会計検査院は2015年の実質GDP額を521億3,230万ドル、経済成長率を5.8%と発表。
●23日、パナマ運河庁は、拡張運河の開通式典を6月26日(日)に行う旨発表。
 
1 経済一般
(1)OECDによるパナマ金融取り締まり枠組みの査察
OECDは「第8回税の透明性と情報交換に関するグローバルフォーラム」において、パナマの第2フェーズ(執行面審査)への移行が承認されたことを受け、1日~4日、実働状況確認のための査察を実施。
 
(2)今後の公的インフラ事業
デ・ラ・グアルディア経済財務大臣は、2016年から2019年までの公的インフラ事業の投資総額は約52億ドルになる見込みである旨発表。主な案件として、メトロ2号線、コロン市再生計画、第4運河橋建設、トクメン空港拡張工事、及び第3及び第4送電線建設等が挙げられる
 
(3)ルフトハンザによる直行便就航
3日、ルフトハンザ社によるフランクフルトとの直行便が就航した。
 
(4)エミレーツ航空による直行便就航の延期
エミレーツ航空は、南米の経済状況を踏まえた更なる需要調査が必要であるとし、パナマへの直行便就航を2016年下旬もしくは2017年上旬に延期すると発表。
 
(5)国際海事機関(IMO)への分担金支払い
海運庁(AMP)は、2016年の分担金である688万8,710ドルの支払いを行った旨発表。右分担金額はIMO加盟国内で最も高額であり、全分担金の16.42%を占める。
 
(6)COPA航空による新路線便就航
(イ)アルゼンチンへ直行便就航先として第3都市目であるロサリオとの就航を週4便開始したと発表。
(ロ)ペルーへの直行便就航先として第3都市目であるチクラヨとの就航を6月28日より開始する旨発表。
 
(7)EXPOCOMERの開催
中米・カリブ域内最大の総合見本市であるExpocomer2016が9日から12日の会期で開催された。本年は32カ国から約700社が参加し、見本市の場におけるビジネス成約額は約1億3,100万ドルであり、また経済効果は約4,000万ドルであった。
 
(8)パナマ国債の発行
10日、パナマ国債が発行された。発行総額は10億ドル、満期は2028年、利子は3.875%。
 
(9)コロンフリーゾーンの戦略的開発に向けたコンサルタントとの契約
デ・ラ・グアルディア経済財務大臣は、今後、コロンフリーゾーンの戦略的な開発に向けて、ベイン・ブラジルLTDA社(伯)とコンサルタント契約を締結したと発表。契約金額は161万9,674ドル。
 
(10)IMFによるパナマの財政枠組みの強化
IMFは、パナマの財政枠組みにつき、財政責任法の更なる遵守、徴税の強化及びバーゼルIII導入による改善を進めるべきである旨記載したレポートを発表。これを受け、デ・ラ・グアルディア経済財務大臣は、現在国内の金融機関とバーゼルIIIの導入に関し対話中である旨発表した。
 
(11)トルコとのビジネス関係強化
観光庁(ATP)は、5月4日に就航が予定されているトルコ航空によるイスタンブール便による二国間のアクセス改善を見越し、主に観光、商業及び投資に特化したビジネスミッションをトルコに派遣した旨発表した。
 
(12)トクメン国際空港拡張工事稼働状況
フィダンケ・トクメン空港公社総裁は、拡張工事を進めているターミナル2に関し、2017年12月には部分的稼働が開始できる見込みである旨発表。2018年3月には、出入国管理及び税関を含め全面稼働する見込み。
 
(13)コロンフリーゾーン利用手数料の引き下げ
29日、コロンフリーゾーン庁は、4月からの利用手数料の引き下げが役員会にて承認された旨発表。(右は、長年にわたりユーザー協会が要請していたが、当局が引き下げに応じたのは今回が初めてとなる。)
 
2 通商、自由貿易協定、国際経済関連
(1)パラグアイにおける「租税対策が不十分な国リスト」からの削除
17日、外務省は、パラグアイがパナマを「租税対策が不十分な国リスト」から削除した旨発表。同リストには2014年からパナマが記載されていたものの、パナマによる金融システムの透明化に向けた取り組み及び金融活動作業部会(FATF)のグレイリストからの脱却が評価された。
 
(2)英国との二国間租税情報交換協定に関する言及
18日、パナマを訪問中のアンリ・オブ・セント・ジョンズ英国外務閣外大臣は、両国間の租税情報の交換に関して、同国がパナマと有する二国間租税情報交換協定ではなく、OECDによる自動租税情報交換合意の枠組みを優先させたい意向である旨発言。
 
3 パナマ運河及びインフラ関連
(1)パナマ運河通航船舶への喫水制限
21日、パナマ運河(ACP)は、ガトゥン湖の水位低下を理由に、4月18日よりパナマ運河通航船舶の喫水を11.89m(通常より15cm減)とする制限を実施する旨のプレスリリースを発出。
 
(2)パナマ運河拡張工事
23日、パナマ運河庁(ACP)は、拡張運河の開通式典を6月26日(日)に行うことを正式に発表。2月末時点のパナマ運河拡張工事の全体進捗率は97%。第三閘門建設工事の進捗率は96%。
 
4 経済指標、経済見通し等
(1)2015年の海外直接投資額
デ・ラ・グアルディア経済財務大臣は、2015年の海外からの直接投資総額は前年比16.9%増の50億3,860万ドルとなり過去最高額となったと発表。また国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(CEPAL)によると、対GDP比は9.75%であり、ラテンアメリカ域内で最も高い数値。
 
(2)2015年のGDP額
4日、会計検査院は2015年の実質GDP額を521億3,230万ドル、経済成長率を5.8%と発表。好調な港湾関連、金融仲介サービス及び観光等がGDP成長を牽引。ラテンアメリカ域内で、引き続きトップクラスの成長率である一方、世界経済の不調を受け、経済成長率は鈍化傾向にある。
 
(3)パナマの労働市場における外国人登録
移民局は、2015年に発給した労働許可ビザが前年比29.83%増の1万7,907件であったと発表。
 
(4)1月期及び2月期までの経常収入
経済財務省(MEF)は、1月の経常収入が前年同月比20.1%増の4億9,230万ドルであったと発表。本来前年12月に経常されるべき運河庁(ACP)による2015年度の配当金(3,900万ドル)が本年に経常されたことで前年を上回ったものの、予算を15.3%下回った。また2月期までの経常収入は、昨年同期比5,280万ドル増の8億4,390万ドル。
 
(5)2月期の公的債務残高額
経済財務省(MEF)は2月末における公的債務残高額は202億5,630万ドルであったと発表。マルティネリ前政権時に締結されたターンキー(約40億ドル)の影響により、バレーラ政権発足時(注:2014年7月)から25億8,800万ドル(15%)増額した。
 
(6)2月期の消費者物価指数
会計検査院は2月の消費者物価指数(IPC)が、前年同月比で1.2%上昇したと発表。
 
(7)1月の港湾活動
海運庁(AMP)は、1月の港湾におけるコンテナ取扱量が、前年同月比11.6%減であった旨発表。コロンフリーゾーンの不調が主な要因。
 
(8)1月の電力消費量
エネルギー庁は1月の電力消費量が住宅部門(前年同月比12%増)、商業部門(同2.5%増)及び行政(10.5%増)における消費量の増加を受け、前年同月比5.5%増であったと発表。他方発電量については、同1.3%増にとどまった。
 
(9)経済指標は別添資料をご参照ください。