パナマ経済月報(2024年1月報)
令和6年2月10日
在パナマ日本国大使館
担当:小竹書記官
TEL:507-263-6155
FAX:507-263-6019
担当:小竹書記官
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主な出来事
●2024年度の経済成長率は2%の予想
●2024年度はドノソ銅山閉山にともなう費用負担や機会損失訴訟の議論が活発に
●コロン・フリーゾーン(ZLC)の2023年取扱額は過去最高記録
●2023年度トクメン国際空港利用者過去最高記録を達成
1.経済全般、見通し等
(1)2023年度の歳入は目標未達経済副大臣の発表によると、2023年の歳入は104億6,400ドル(前年比13億6,320ドル増、予算比2億5,240万ドル減)となり、当初の予算には達しなかった。目標未達成は、財政赤字の拡大と財政リスクを高めると述べた。
(2)2024年度の経済成長率は2%の見込み
26日、ラテンアメリカ・カリブ海開発銀行(CAF)のルシア・メザ代表は、2024年度のパナマの経済は建設、物流、金融システムなどのセクターを中心に2%の成長率と推計されるが、パナマは運河の水不足問題と銅山閉山に伴う訴訟などの危機にも面しているとも述べた。
2.経済指標
(1)2023年の自動車販売数パナマ自動車販売者協会(ADAP)によると、2023年の新車販売台数は48,919台で、前年比16%増加した。年末のデモによる一時的な活動停止の影響で、当初の23%増加の予想を下回った。
(2)パナマの月収
24日、パナマ商工会議所は、パナマ人のうち月収3,000ドルを超えているのは全体のわずか3%で、70%は月収1,000ドル以下であると明らかにした。また、全体の30%は月収600ドルから800ドルであると説明した。
(3)2023年インフレ率
パナマの2023年のインフレ率は1.5%で、中南米地域の中では落ち着いている。隣国のコスタリカでは-1.77%とデフレになっており、またアルゼンチンやベネズエラでは200%前後の高いインフレ率となっている。
3.通商、自由貿易協定、国際経済関連
(1)コロン・フリーゾーン(ZLC)の2023年取扱額は過去最高記録2023年のコロン・フリーゾーンの取扱額は33,368百万ドルで、25,644百万ドルであった前年比で30%増加した。内訳は輸入が39%増加、輸出は18%の増加となっている。また、これまでの最高記録である2012年の30,792百万ドルも更新し、過去最高となった。輸入元は主に中国・アメリカ・ブラジルから、輸出先はベネズエラ・コロンビア・コスタリカとなっている。
(2)2023年度トクメン国際空港利用者過去最高記録を達成
15日、トクメン空港公社は2023年度(1~12月)のターミナル利用者数(トランジット含む)が17,825,465人であり、2019年度に記録した1,650万人の最高記録を更新したと発表した。同空港では民間航空会社16社及び87就航地に接続され、利用者の71%はトランジット客である。主要就航地点はマイアミ及びオーランド(米国)、ボゴタ及びメデジン(コロンビア)、サンホセ(コスタリカ)、プンタ・カ
ナ(ドミ共)、カンクン(メキシコ)、サンパウロ(ブラジル)、リマ(ペルー)、グアヤキル(エクアドル)などである。
(3)ドノソ銅山調査
11日、政府機関によりドノソ銅山の立ち入り調査・査察が実施された。その後の会見でホルヘ・リベラ貿易産業大臣は「国際的な専門家の見立ては、ドノソ銅山のような露天掘りの特徴を持つ銅山の秩序ある閉鎖のプロセスには、7年~8年かかるとされている。まず、ミネラ・パナマ社はプロジェクトの物理的・化学的安定条件を維持するためのケア・メンテナンス計画を提示しなければならない。その計画を精査した後、実際の最終的な閉鎖計画策定が実施される」と述べた。また、コンセプシオン環境大臣は査察後に「一見したところ、汚染は検出されていない。現在は近隣水系の水質調査・化学分析の結果を待っているところである」と比較的ポジティブな見解を示した。
(4)ドノソ銅山閉山に伴う費用
ホルヘ・リベラ商工相によると、ドノソ鉱山閉鎖にかかる費用は、政府が予測した当初の計画より多く、年間2億ドル以上の費用がかかるとし、毎月1,500万ドルから2,000万ドルかかると述べた。現時点では、メンテナンス費用は鉱山会社が負担している
が、この費用を誰が負担するのかが議論の焦点となっている。既に貯蔵されている12万トンの銅精鉱を売却し、費用の一部に当て込む案も出ている。
4.パナマ運河、海事関連
(1)運河通航隻数制限に伴う収入源17日、バスケス運河庁長官は、パナマ運河を通過する船舶の通航が制限された結果、通航料が減少し、今年2024年は最大7億ドルの収入減になるだろうと述べた。また、インディオ川にダムを建設することが最良の代替案であると主張したが、その決定はまず閣僚評議会と国民議会を通過しなければならないとも述べた。
(2)運河通航隻数制限に伴う周辺産業への影響
パナマ運河を通過する船舶に燃料や食料、物資、技術サービスを提供する企業は、干ばつのため通常1日に38隻通航していた船舶が1日24隻に制限された結果、約50%の損失と収入の減少を報告した。海事補助産業は、運河を通過する50%の船舶にサービスを提供している。4月以降の通航隻数は3月の天候次第で維持するか減らすかが決定される。
(3)運河の飲料水
24日バスケス運河庁長官は、パナマ運河が直面している最大の課題は、人間が消費するための水の質と量を保証することであると述べた。パナマ運河は、太平洋側のミラフローレス浄水場、西パナマ県のメンドーサ浄水場、大西洋側のモンテ・エスペランサ浄水場の3つの浄水場を運営しているが、バスケス長官は、そのうちの2つの浄水場の塩分濃度が高くなっていると指摘し、パナマ国民の50%以上に供給されている飲料水を確保する
ことは、運河運営を超えた大きな課題の一つであると述べた。運河庁は淡水化プラントをエスコバルで試験的に導入し、結果を分析した上で、他の浄水場にも拡大できるか検討している。
5.インフラ関連
(1)ガトゥン発電所の稼働時期ガトゥン発電所(Generadora Gatun、発電容量670MV)は、今年10月に400メガワットの電力供給を開始する。ガトゥン発電所のエステバン・バリエントス最高経営責任者によると、発電所は85%完成しており、3月にテストを開始し、8月にも供給実験を行い、最終的には10月1日に配給業者へのエネルギー供給を開始する予定である。当発電所には投資額は12億ドルにのぼる。
(2)メトロ3号線のモノレール車両第1編成がパナマに到着
メトロ公社は、メトロ3号線のモノレール車両第1編成がパナマに到着し、1月29日から31日にかけて港から車両基地に運搬すると発表した。また、地元メディア「ラ・プレンサ」紙が1月12日に報じたところによると、メトロ3号線の工事進捗はトンネル部分を除いて47%である。
(3)メトロ1号線の延伸工事の進捗は72%
21日、メトロ公社はメトロ1号線の延伸工事の進捗が72%であり、21日未明に乗客のいない列車でサン・イシドロ駅からヴィラ・ザイタ駅までの初めての走行試験を実施したと発表した。
(4)東パンアメリカンハイウェイの道路補修並びに維持管理契約の受注者が決定
公共事業省は、PPP方式で行われる東パンアメリカンハイウェイの道路補修並びに維持管理契約を10日にINTERVAL CHILE S.A.社と契約した。同コンソーシアムは、半期契約額2,741万ドル、初期投資2億6,206万ドルの金額を提案した。
(5)センテナリオ橋の補修事業が開始
17日、公共事業省はセンテナリオ橋の補修事業を開始したと発表した。本事業は、道路の現在の損傷を特定する定期検査と、定期検査報告書に示された範囲の予防及び修繕が含まれており、事業期間は12ヶ月であると説明した。
パナマ主要経済指標(月次ベース)2024年1月