パナマ経済(2019年4月報)
令和元年5月10日
在パナマ日本国大使館
担当:淡輪書記官
TEL:507-263-6155
FAX:507-263-6019
担当:淡輪書記官
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主な出来事
●ECLACは、2019年のパナマのGDP成長率を5.4%と見通した。
●S&P社は、パナマの格付を「BBB+」投資見通し「安定的」と発表。
●バレーラ大統領は、日本を公式訪問した。
●パナマ運河庁は、今期5回目となる喫水調整を開始した。
●メトロ2号線及びトクメン空港第2旅客ターミナルの運用が開始された。
1.経済全般、見通し等
(1)ECLACによるコンテナ港湾ランキングの発表3日、国連中南米カリブ経済委員会(ECLAC)は、2018年の域内コンテナ港湾全118港の取扱量を発表。1位はパナマ・コロン港(マンサニージョ港、コロン・コンテナターミナル、クリストバル港)で4,324,478TEU、2位はブラジル・サントス港で3,836,487TEU、3位はメキシコ・マンサニージョ港で3,078,505TEU、4位はコロンビア・カルタヘナ港で2,862,787TEU、5位はパナマ・バルボア港で2,520,587TEU
となった。パナマでは、大西洋側コロン港が前年比11%増加した一方、太平洋側バルボア港が同16%減少した結果、バルボア港は2017年の3位から2つ順位を落とした。なお、域内全118港の合計は53.2百万TEUで前年比7.7%増加した。
(2)ECLACによるGDP成長率見通しの発表
11日、国連中南米カリブ経済委員会(ECLAC)は、2019年のパナマのGDP成長率を5.4%、ラ米カリブ諸国の平均を1.3%と見通した。2018年12月時点での見通しは、パナマ5.6%、ラ米平均1.7%であり、世界経済の失速等を背景に下方修正した。なお、IMF及び世界銀行は6.0%、パナマ経済財務省は5.5%と見通している。
(3)S&P社によるパナマの格付け
29日、大手格付け機関S&P社は、パナマの格付けを従来の「BBB」及び投資見通し「ポジティブ」から、「BBB+」同見通し「安定的」に引き上げる旨発表。同社はパナマの堅調な経済成長及びパナマ政府による財政改善への取り組み等を評価した。なお、ラ米諸国の格付けはトップがチリ「A+」、二番手がパナマ、ペルー、メキシコの「BBB+」となっている。先般のムーディーズ社による格付け引き上げを含め、直近では上方改定が続いている。
2.経済指標
(1)3月末時点の公的債務残高経済財務省は、3月末時点の公的債務残高が258億93百万ドルで、前月比1億89百万ドル(0.7%)、前年同月比22億20百万ドル(9.4%)増加した旨発表。本年の予想名目GDP708億47百万ドルの36.5%を占める。
(2)1月~3月期の新車販売台数
会計検査院は、1月~3月の新車販売台数が11,292台で、前年同期比1,326台(10.5%)減少した旨発表。2月単月の販売台数は前年同月比14.4%増と反騰したが、3月単月では同25.2%減と再び減少した。
(3)1月~2月期の建設許可金額
会計検査院は、1月~2月の建設許可金額が1億63百万ドルで、前年同期比38百万ドル(19.1%)減少した旨発表。総額の内、住宅部門は1億7百万ドルで前年同期比9.7%減少、非住宅部門は56百万ドルで同32.6%減少。国内景気の見通しが不透明であることに加え、本年5月の総選挙を控え不動産開発業者及び投資家等は様子見の傾向となっている。
(4)2月期の経済活動月間指数
会計検査院は、2月の経済活動月間指数(IMAE)は328.63(1996年平均=100)で、前年同月比3.74%増加した旨発表。運輸、倉庫、通信業が特に好調で、その他ホテル、レストラン業も伸びた。
3.通商、自由貿易協定、国際経済関連
(1)バレーラ大統領の訪日3日から6日にかけて、バレーラ大統領は、日本を公式訪問し、天皇皇后両陛下との会見、安倍総理大臣との首脳会談、日立製作所笠戸事業所の視察及び日本企業・機関等との会談を行った。安倍総理大臣との会談にて、バレーラ大統領は、日本によるパナマへの支援と開発協力を推進する意向について謝意を表明し、この協力により昨今のパナマの発展における役割を担い、パナマにとって日本が最も重要な同盟国となっている旨述べた。
(2)シーヤールトー・ハンガリー外務貿易大臣のパナマ訪問
10日、シーヤールトー・ハンガリー外務貿易大臣は、パナマを訪問し、二国間貿易の強化と共に、教育分野を始めとした新たな分野での協力への取組につき協議した。「シ」外務貿易大臣は、バレーラ大統領を表敬し、米州地域との関係構築を目指すハンガリーの外交政策においてパナマが果たす役割の重要性から、パナマとの関係強化への関心を表明した。経済面に関して、同外務副大臣は、サイン・マロ副大統領兼外務大臣と拡大会合を実施し、より広範な分野に関する二国間アジェンダにつき協議した。本会合において、両国外相は、二国間貿易に加え、パナマ及びハンガリーの両国企業間での交流を促進する経済的インセンティブを拡大する可能性を共有した。
(3)サイン・マロ副大統領兼外務大臣のポルトガル及びスペイン訪問
(ア)23日、サイン・マロ副大統領兼外務大臣は、シルバ・ポルトガル外務大臣と会談し、両国外務省間の関係強化に加え、外交官養成に係る情報及び文書の共有につき規定した、両国外交官養成機関の間での覚書(MOU)に署名した。経済面に関して、「サ」副大統領兼外務大臣は、拡張運河によって生まれた新たな投資の可能性など、観光、海事及び投資分野における協力の可能性につき言及した。また、ポルトガル・シネス港が、ポストパナマックス船の寄港を促す重要な投資を生み出しており、両国港間の関係強化に繋がっている旨表明した。両国外務大臣は、TAPポルトガル航空がラ米地域との接続性の向上を目指しトクメン空港への直行便の再就航に向けた動きの進捗について共有した。
(イ)24日、サイン・マロ副大統領兼外務大臣は、ボレル・スペイン外務EU協力大臣と会談し、特に外交、貿易及び文化面において、歴史的に強固且つ深い関係を築いてきた二国間アジェンダの進展を探求した。経済面に関して、「サ」副大統領兼外務大臣は、様々な分野に投資している西企業のパナマ経済におけるプレゼンスは傑出していることを指摘し、二国間の強固な接続性、パナマの空路、海事及び企業のハブとしての役割について強調した。また、近日中のエアーヨーロッパ社による直行便開通は、かかる接続性を強化することに繋がる旨述べた。
(4)中国とのFTA交渉
24日から26日にかけて、パナマ及び中国のFTA交渉団は、北京にて第5回交渉ラウンドを実施。パナマ側は民間部門も帯同し、前回に引き続き原産地規則、税関手続き、市場アクセス、サービス貿易、金融サービス及び知的財産権等について協議した。ゴンザレス貿易産業大臣は、帰国後の記者会見にて、2018年7月9日より開始された交渉プロセスは今回の第5回交渉を以って一旦保留となり、今後の交渉は本年7月以降の新政権に引き継がれる旨発表した。
4.パナマ運河
(1)パナマ運河通航船舶に対する喫水調整18日、パナマ運河庁は、ガトゥン湖の水位が当該時点で維持すべき水位より1.5m下方の24.64mに、アラフエラ湖の水位は同1.82m下方の67.01mとなったことを報告した。今般のエル・ニーニョ現象による降雨量不足により、パナマ運河通航船舶には喫水調整が課されており、30日には今期第5回目となる喫水調整として44フィート(通常時の許容喫水は50フィート)への制限の適用が開始する。
5.インフラ関連
(1)メトロ2号線の運用開始25日、バレーラ大統領はメトロ2号線の開通式典を開催し、同日18時より運用が開始された。同線は延長約21kmであり、5両編成21車列により毎時平均1万6千人、ピーク時には最大4万人を輸送する容量を有している。なお、同開通から2週間は同線の運賃は無料で輸送サービスが提供され、その後、メトロ及びメトロバスの新たな料金体系が決定されると見込まれている。
(2)トクメン空港第2旅客ターミナルの運用開始
29日、バレーラ大統領はトクメン空港第2旅客ターミナルの完成式典を開催し、5つの搭乗ゲートの運用が開始された。現在、各種システムが整備中である他、第1及び第2ターミナル間の預入荷物システムの統合については今後業務が発注されるため、第2ターミナルを出入りする乗客は第1ターミナルにて入管登録及び預入荷物のピックアップを行う必要がある。ラミレス・トクメン空港総支配人は、本年10月乃至は11月に完全運用開始ができる見込みである旨述べた。
6.経済指標は別添資料をご参照下さい。
- 主要経済指標(2019年4月)(Excel)
(70KB)