パナマ経済(2019年1月報)

平成31年2月18日
在パナマ日本国大使館
担当:淡輪書記官
TEL:507-263-6155
FAX:507-263-6019

主な出来事
●IMFは、パナマのGDP成長率見通しとして、2018年は4.3%、2019年は6.3%と発表。
●バレーラ大統領は、年間30万ドル以上の脱税を刑事罰(懲役2~4年)とする法案を承認。
●ミネラ・パナマ社は、本年2月18日より、コブレ・パナマ・プロジェクトを試験操業する旨発表。
●経済財務省は、2018年12月末時点の公的債務残高が256億87百万ドルと発表。
●「世界青年の日」期間に合わせメトロ2号線の部分開業に係る開通式が開催され、一時的な暫定運用が開始された。
 

1.経済全般、見通し等

(1)IMFによるGDP成長率見通しの発表
国際通貨基金(IMF)は、パナマのGDP成長率見通しとして、2018年は前回2018年3月発表の5.6%から引き下げ4.3%、2019年6.3%、2020年5.8%、2021年5.6%、2022年5.5%、2023年5.5%と発表。2018年は主に建設業の失速等の影響を受け成長率は鈍化するが、2019年以降はパナマ運河第4架橋の建設、メトロ2号線の延伸及び3号線の建設、パナマ~アライハン間の車線拡張等の大型インフラ工事や、コブレ・パナマ・プロジェクトによる銅輸出等により回復すると見通している。なお、CEPALは2018年を4.2%、2019年を5.6%、世界銀行は2019年を6.0%と見通している。
 
(2)脱税を刑事罰とする法案の承認
 29日、パナマ議会は年間30万ドル以上の脱税を刑事罰(懲役2~4年)とする法案を第三読会にて可決し、31日、バレーラ大統領は同法案を署名・承認した。経済財務省は、本件はマネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)等が定めるマネーロンダリング及びテロ資金対策を順守するもので、金融及び税制の透明性強化に資する旨発表している。
 
(3)ミネラ・パナマ社による銅生産
ミネラ・パナマ社は、本年2月18日より、同社が63億ドルを投資して進めているコブレ・パナマ・プロジェクトを試験操業する旨発表。銅の本格生産は本年下半期から2020年初旬の予定で、2020年以降は年間30万トン程度を生産予定。今後の価格相場によるものの、輸出額は年間20億ドル程度となる見込みで、GDP成長率引き上げへの貢献が期待されている。
 
(4)小売上限価格据え置きの延長
貿易産業省は、基礎食料品22品目の小売上限価格について、本年上半期も据え置きを延長することを発表。
 
(5)コパ航空によるスリナムへの新規直行便就航
コパ航空は、本年7月より、南米スリナムへの直行便を週2便就航させることを発表。
 

2.経済指標

(1)2018年12月末時点の公的債務残高
 経済財務省は、2018年12月末時点の公的債務残高が256億87百万ドルで、前年同月比23億13百万ドル(9.9%)増加した旨発表。2018年予想名目GDPは654億36百万ドルで、公的債務残高の割合は39.3%と財政責任法における上限40%に切迫している。
 
(2)2018年12月期の消費者物価指数
会計検査院は、2018年12月の消費者物価指数(CPI)が104.7(2013年=100)で、前年同月比0.2%上昇、前月比0.4%下落、2018年累計では前年比0.8%上昇した旨発表。前年同月比の費目別上昇率は教育が3.8%と最も大きく、外食・ホテル2.7%、厚生1.0%、食品・非アルコール飲料とアルコール飲料・たばこ、その他財・サービスはそれぞれ0.7%、住居・水道・電気・ガスと家具・家庭用品はともに0.3%上昇した。一方、交通はマイナス1.6%と最も大きく下げ、衣料品・靴がマイナス1.3%、通信マイナス1.2%、レジャー・文化マイナス0.3%となった。
 
(3)2018年1月~11月期の月間経済活動指数
会計検査院は、2018年1月~11月の月間経済活動指数(IMAE)が3.18%であった旨発表。引き続き運輸・倉庫・通信業等が堅調であった一方、建設、娯楽産業及び漁業等が低調であった。
 
(4)2018年1月~11月期の建設許可金額
 会計検査院は、2018年1月~11月の建設許可金額が12億28百万ドルで、前年同期比7億70百万ドル(38.5%)減少した旨発表。総額の内、住宅部門は7億53百万ドルで前年同期比40.6%減少、非住宅部門は4億75百万ドルで同35.1%減少。
 

3.通商、自由貿易協定、国際経済関連

「世界青年の日」マージンで実施された二国間首脳会談
(1)26日、バレーラ大統領は、アルバラード・コスタリカ大統領と会談し、貿易分野では、中国との関係が両国にもたらす機会及び両国国境までの鉄道建設の可能性について議論した。
 
(2)26日、バレーラ大統領は、ラベロ・デ・ソーサ・ポルトガル大統領と会談し、貿易関係の強化と共に、財政分野における透明性及び国際協力の促進の重要性を確認した。
 

4.パナマ運河

(1)「世界青年の日」期間中のパナマ運河の観光
 1月16~24日の9日間において、パナマ運河ミラフローレス・ビジターセンターの観光客数は39,700人を記録。なお、パナマ運河はパナマの重要な観光資源であり、パナマ運河庁は太平洋側のミラフローレス・ビジターセンターや大西洋側のアグア・クララ・ビジターセンターの拡張を含む観光関連の投資計画(約4千万ドル)を実行中である。また、ミラフローレス・ビジターセンターとココリ地区を結ぶロープウェーの建設についても計画中の段階にある。
 
(2)スエズ運河の通航料改定
 スエズ運河庁は、米国東岸、カリブ及びラ米地域の港湾からアジアの港湾に向かう石油タンカーに対するスエズ運河の通航料を50%低減させる旨発表。なお、スエズ運河はパナマ運河と競合関係にあるが、特に、米国東岸-アジア間の輸送において競合している。
 

5.インフラ関連

(1)Merca Panamaの開業
 2日、パナマ市センテナリオ地区において、冷蔵設備を備えパナマ国内のコールド・チェーンの一部を構成する市場「Merca Panama」が運用開始した。報道によると、以前の冷蔵設備を持たないMercado de Abastosでは、乾期において1日に25トンの廃棄野菜等が生じていたが、Merca Panamaでは1日に11トンに減少している。
 
(2)メトロ2号線の部分的運用開始
 17日、「世界青年の日」期間に合わせたメトロ2号線の部分開業に係る開通式が開催され、翌18日より5駅のみを利用可能とする暫定運用が開始された。同暫定開業は27日までで、28日以降は再度運用を中止し完全運用開始に向けた工事が進められ、4月に完工する見込み。
 

6.経済指標は別添資料をご参照下さい。