パナマ経済(2018年9月報)

平成30年10月8日
在パナマ日本国大使館
担当:淡輪書記官
TEL:507-263-6155
FAX:507-263-6019

主な出来事
●経済財務省は、本年上半期の実質GDPが203億94百万ドルで、前年同期比3.7%増加した旨発表。
●キハーノ運河庁長官は、米国及び中国の貿易戦争の結果、海上貿易が減速し、運河庁収入にも影響が生じ得る可能性がある旨述べた。
●メトロ公社は、メトロ3号線プロジェクトに係る入札公示を行った。
 

1.経済全般、見通し等

(1)2018年上半期のGDP
経済財務省は、本年上半期の実質GDPが203億94百万ドルで、前年同期比7億20百万ドル(3.7%)増加した旨発表。(なお、名目GDPは315億59百万ドルで、前年同期比13億88百万ドル(4.6%)増加。)同期比較では、2010年以降5.0%~10.0%増加で推移し、2017年は5.8%であったが、直近で最低水準を記録した2009年(同2.4%)に次いで2番目に低い水準。運輸・倉庫・通信業は7.3%増と好調。他方、本年第2四半期に発生した建設ストライキにより、建設業は2.0%増に留まった。また、ホテル・レストラン業は3.2%減と不調。

(2)エア・ヨーロッパ社によるマドリッド・パナマ間の直行便就航
スペイン系航空会社のエア・ヨーロッパ(AIR EUROPA)社は、2019年2月よりマドリッド~パナマの直行便を週5便で就航させることを発表。(なお、同路線はイベリア航空も就航済み。)

(3)コパ航空新機体の受領
コパ航空は、2015年に総額66億ドルで発注したボーイング737MAX9全71機の内1機目を受領。今後の予定として、2018年に計5機、2019年に計8機、2020年に計12機を受領する。
 

2.経済指標

(1)8月末時点の公的債務残高
経済財務省は、8月末時点の公的債務残高が247億22百万ドルで、前年同月比16億67百万ドル(7.2%)、前月比3億35百万ドル(1.4%)増加した旨発表。

(2)1月~7月期の新車販売台数
会計検査院は、1月~7月の新車販売台数が28,959台で、前年同期比4,822台(14.3%)減少した旨発表。7月単月の販売台数は3,449台で、前年同月比23.3%減と大きく減少した。

(3)1月~7月期の月間経済活動指数
会計検査院は、1月~7月の月間経済活動指数(IMAE)は前年同期比3.0%成長した旨発表。引き続き運輸業、倉庫業、通信業及び商業等が好調であった一方、建設業及び非金属鉱業等が不調であった。

(4)7月期の消費者物価指数
会計検査院は、7月の消費者物価指数が105.5で、前年同月比1.3%増加した旨発表。特に昨今の原油価格の上昇を受け、運送費が5.5%増加した他、教育が3.7%、レストラン・ホテルが2.9%増加した。

(5)1月~6月期のパナマに対する海外直接投資
会計検査院は、1月~6月のパナマに対する海外直接投資が23億21百万ドルで前年同期比3億53百万ドル(13.2%)減少した旨発表。2016年及び2017年の上半期比較でも12百万ドル(0.4%)減少したが、下落幅が拡大した。
 

3.通商、自由貿易協定、国際経済関連

(1)ドゥケ・コロンビア大統領のパナマ訪問
バレーラ大統領は、ドゥケ・コロンビア大統領と会談を実施。両首脳は、アンデス地域と中米地域間の電力統合システムに繋がる、両国間の電力相互連結プロジェクトの概略の見直し作業を支持した。また、観光分野では、両国は、アジア及び欧州からの観光客を呼び込むための多様な旅行先を提示する誘致活動を共に行うことを決定した。
 

4.パナマ運河

(1)コロサル港建設計画に係る計画変更
パナマ運河庁は、当初、コロサル港建設計画として、第1フェーズで300万TEU、第2フェーズで200万TEUの年間取扱容量を有する港湾建設を計画していたが、対岸のPSAターミナルの拡張(年間200万TEU分の容量拡大)を受け、第1フェーズで170万TEU、第2フェーズで150万TEUとする計画変更を行った。なお、コロサル港建設計画については、周辺港湾及び地域住民からの訴訟がなされており係争中である。

(2)米国及び中国の貿易戦争によるパナマ運河への影響
18日、キハーノ運河庁長官は、米国及び中国の貿易戦争の結果、海上貿易が減速し、運河庁収入にも影響が生じ得る可能性がある旨述べた。同長官によると、同収入の大部分を占める通航料収入に関し、本年5月は前年同月比16.1%減、6月は同12.3%減、7月は同6.5%減となっている。
 

5.インフラ関連

(1)メトロ3号線プロジェクトに係る入札公示
12日、メトロ公社は、メトロ3号線プロジェクトに係る入札公示を行った。入札提案日は2019年1月25日が予定されており、価格点49%、技術点51%の総合評価方式により評価がなされる。なお、同入札の受注者には54か月の工期が与えられ、モノレールシステムに係る土木事業を主に担うが、モノレールシステム及び車輌の納入については、日立製作所及び三菱商事を含む指定サブコントラクターが担う。

(2)パナマ運河第四架橋建設計画に係る資金調達
20日、閣議において、パナマ運河第四架橋建設計画に係る資金として、高速道路公社に対し、政府への資金の拠出(上限3億ドル)及び資金調達(上限6億ドル)を要請すること、また、政府予算案においても次年度以降、合計6億ドルを計上する旨承認された。

(3)パナマ-チリキ間鉄道建設計画に係るF/Sの進捗
パナマと中国との国交樹立を契機に開始されたパナマ-チリキ間鉄道建設計画に係るF/S(フィージビリティ・スタディ)に関し、同調査を担うChina Railway Design社は、現場でのデータ収集のフェーズを完了した旨報告。今後、11月初旬にパナマ政府に対して調査報告書が提出され、パナマ政府による確認を経て、2019年第1四半期に同報告書の最終化が行われる予定。

(4)中国企業によるコロン県の港湾エリアにおける投資活動状況
中国の投資グループであるシャンハイ・ゴージャス社は、LNG発電所及びコンテナターミナル(Panama Colon Container Port:PCCP)を建設中。LNG発電所については、発電タービンの建設が40%の進捗を示しており、2020年の稼働開始が見込まれている。一方、年間250万TEUの取扱容量を有する見込みであるPCCPは、2019年5月の運用開始が見込まれている。
 

6.経済指標は別添資料をご参照下さい。