パナマ経済(2018年2月報)
平成30年3月7日
在パナマ日本国大使館
担当:淡輪書記官
TEL:507-263-6155
FAX:507-263-6019
担当:淡輪書記官
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主な出来事
●フィッチ・レーティング社は、パナマの格付を「BBB」、投資見通しを「安定的」と据え置く旨発表。
●経済財務省は、2017年の財政赤字が10億4百万ドルで前年同期比49百万ドル(4.7%)減少した旨発表。
●会計検査院は、2017年の新車販売台数が56,905台で、前年同期比9,795台(14.7%)減少した旨発表。
●パナマは、ホンジュラス、ニカラグア、エルサルバドル及びコスタリカと共に、中米・韓国自由貿易協定(FTA)に署名。
●バレーラ大統領は、ラテンアメリカ・グローバル・ビジネス・フォーラム出席のためUAEを訪問。
1.経済全般、見通し等
(1)フィッチ・レーティング社によるパナマの格付大手格付け機関のフィッチ・レーティング社は、パナマの格付を「BBB」及び投資見通しを「安定的」と据え置く旨発表。パナマのGDPは2018年も5~6%の成長が見込まれること及び今後の第四運河架橋やメトロ2号線建設等の大型インフラ事業が活発であること等を評価した。
(2)一部関税の引き上げ
貿易産業省は、コーヒー豆、石炭、花き及び建設資材等30品目の輸入関税を、国内産業保護を理由に5%~30%引き上げる旨発表。なお、パナマとのFTA締結国及び中米統合機構(SIECA)加盟国からの輸入品については適用対象外となる。
(3)中国国際航空による中国・パナマ間の直行便就航
トクメン国際空港公社は、中国国際航空が2018年3月29日より北京・パナマシティ直行便(ヒューストン経由)を週2便就航させる旨発表。使用する機体は定員380人で、フライト時間は17時間27分となる見込み。
(4)ミネラ・パナマ社による鉱山開発の進捗
ミネラ・パナマ社は、同社が進めるコブレパナマ銅鉱山開発について、工事の進捗は70%で、2019年初旬より34年間の銅生産を予定する旨発表。本プロジェクト(34年間累計)によるGDPへの効果は4%相当、輸出総額は20億ドルと見込まれる。
2.経済指標
(1)2017年1月~12月期の財政赤字経済財務省は、2017年の財政赤字が10億4百万ドルで前年同期比49百万ドル(4.7%)減少した旨発表。ただし、運河庁からの国庫納付額の調整により、調整後財政赤字は6億2百万ドルとなり、財政責任法で定めた2017年の財政赤字上限額には収まる見込み。非金融公的部門の経常収入は124億32百万ドル、経常支出は134億36百万ドルであった。
(2)2017年1月~12月期の月間経済活動指数
会計検査院は、2017年の月間経済活動指数(IMAE)が前年同期比5.2%増加した旨発表。特に、運輸、倉庫、通信(運河・港湾・航空含む)、建設業等が好調で、次いで金融及び不動産業等も牽引した。
(3)2017年1月~12月期の新車販売台数
会計検査院は、2017年の新車販売台数が56,905台で、前年同期比9,795台(14.7%)減少した旨発表。国別占有率は、(1)日本車55.9%、(2)韓国車31.1%、(3)米国車6.9%、(4)欧州車5.1%、(5)中国車0.8%、(6)その他0.2%の順となっている。2016年の販売台数は過去最高である66,700台の販売を記録したが、2017年は経済減速や消費者の消費傾向の変化を受け大きく失速した。
(4)2017年1月~12月期のコロンフリーゾーン取扱高
コロンフリーゾーン庁は、2017年のコロンフリーゾーン取扱高が196億47百万ドルで、前年同期比9百万ドル(0.1%)減少した旨発表。取扱高内訳は、輸入が92億15百万ドル、再輸出が104億33百万ドルである。
(5)2017年1月~12月期のコンテナ取扱量
海事庁は、2017年の国内主要港湾でのコンテナ取扱量が689万8,246TEUで、前年同期比63万1,744TEU(10.1%)増加した旨発表。大西洋側のクリストバル港、コロンコンテナターミナル及びマンサニージョ港が好調で、特にクリストバル港は131万1,219TEUとなり、前年同期比51万7,278TEU(65.2%)増加している。
(6)2017年1月~12月期の建設許可金額
会計検査院は、2017年の建設許可金額が21億42百万ドルで、前年同期比2億18百万ドル(11.3%)増加した旨発表。なお、総額の内、13億37百万ドルが住宅分野、8億5百万ドルが非住宅分野である。
(7)2017年1月~12月期の外国人観光客
観光庁は、2017年の外国人観光客数が2,517,008人で、前年同期比137,873人(5.8%)増加した旨発表。また、観光客による外貨収入は44億51百万ドルで、前年同期比1億64百万ドル(3.8%)増加した。なお、クルーズ船によりパナマを訪問した観光客は38万2600人で、前年の21万7600人から大幅に増加した。
3.通商、自由貿易協定、国際経済関連
(1)中米・韓国FTAの署名21日、パナマ外務省は、地域の新たな機会を開拓することを目的に、ホンジュラス、ニカラグア、エルサルバドル及びコスタリカと共に、中米・韓国自由貿易協定(FTA)に署名したことを発表。同協定は、商品、サービス及び投資の幅広い範囲をカバーし、パナマ議会にて批准された後に発効する。同協定に署名したサラサール・パナマ貿易産業省次官は、同協定により、パナマは韓国への農産物、海産物等及びサービスの輸出を促進し、韓国はハイテクノロジー、自動車、自動車部品及び家電業界等による投資を促進することとなり、双方に大きな利益をもたらす旨、また、韓国企業がコロン・フリーゾーンを始めパナマをラ米地域のハブとして活用することで、特にパナマの物流及びサービス分野の拡大に寄与し、更にはパナマ人の雇用拡大にも貢献する旨強調した。
(2)今治市副市長一行による当地訪問
越智・今治市副市長を団長とする今治市関係者及び同市に所在する民間企業一行は、コロン・フリーゾーンを視察し、グリマルド同代表と協議を行うと共に、ブランドン・パナマ市長及びバラカット・パナマ海事庁長官とも会談を行った。コロン・フリーゾーン庁は、今回の一行による訪問について、日本企業に同ゾーンが持つ港湾、空港、運河等との物流の接続性の良さを見せる機会であるだけでなく、日本企業と同ゾーンの関係を強化することにつながる旨発言した。
(3)バレーラ大統領のアラブ首長国連邦訪問
バレーラ大統領は、25日から28日まで、ラテンアメリカ・グローバル・ビジネス・フォーラム出席のためUAEを訪問し、サイン・マロ副大統領兼外務大臣、デ・ラ・グアルディア経済財務大臣及びアロセメナ貿易産業大臣が同行した。今回の訪問において、ドバイ商工会議所のラテンアメリカ地域本部をパナマに設立するための覚書及びパナマとUAEの二国間投資促進保護協定が署名された。
4.パナマ運河関連
(1)コロサル港の建設及び運営に係る入札26日、パナマ運河庁は、コロサル港の建設及び運営に係る入札提案を前回の入札プロセスにおいて事前資格審査を通過した4者から受理する予定との新聞報道を否定し、現時点では入札プロセスを再開しておらず、(直近では)入札提案を受け取る予定も無い旨を報告した。同再開に向けてパナマ運河庁では、同港の建設に関してパナマ運河庁に寄せられている28件の法的クレームの内、保留中である9件に対応する他、コロサル港の運営戦略に影響を及ぼす船会社の統合及びアライアンス状況を分析中である。
5.インフラ関連
(1)パナマ-ダビ間の鉄道建設プロジェクト1日、パナマ外務省は、パナマ-ダビ間の鉄道建設に係るフィージビリティ・スタディの手法を決定するためのパナマ政府及び中国政府間の第1回技術会議を開催した。同会議には、パナマ側は議長を務めたロイ運河担当大臣兼メトロ公社総裁の他、外務省、貿易産業省の職員が、中国側は貿易省の他、同国の鉄道企業の技術者が参加した。同鉄道は450kmの区間を2時間半で走行し、事業費は55億ドルが見込まれており、パナマ外務省によると、同プロジェクトは、パナマ及び中国の地理的かつ貿易上の緊密性を促進するものであり、「一帯一路」のイニシアティブによるものと位置づけられている。
(2)メトロ2号線建設プロジェクト
25日、ロイ・メトロ公社総裁は、ワールド・ユース・ディまでにメトロ2号線を部分的に運用開始するための追加費用として9百万ドルを要する旨報告した。なお、2月時点で同建設の進捗は65%である。
6.経済指標は別添資料をご参照下さい。
- 主要経済指標(2018年2月)(Excel)
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