パナマ経済(2018年1月報)

平成30年2月16日
在パナマ日本国大使館
担当:淡輪書記官
TEL:507-263-6155
FAX:507-263-6019

主な出来事
●経済財務省は、12月末時点の公的債務残高が233億74百万ドルと発表。
●EUは、タックスヘイブン「ブラックリスト」からパナマを除外し、「グレーリスト」に移行することを決定。
●バレーラ大統領は蘭及びスイスを公式訪問。

1.経済全般、見通し等

(1)小売上限価格据え置きの延長
 アロセメナ貿易産業大臣は、基礎食料品22品目の小売上限価格について、2018年上半期も据え置きを延長することを発表。
 
(2)ミネラ・パナマ社による鉱山開発の進捗
 ミネラ・パナマ社は、同社が進めるコブレパナマ銅鉱山開発において、住宅環境の悪化を理由に労働者によるストライキが発生した旨発表。ただし、開発工事の進捗は68%となり、予定通り2019年初旬の生産開始を見込む。
 
(3)コパ航空による南米への新規直行便就航
 コパ航空は、2018年7月より、ブラジル・サルバドール、フォルタレザ及び西インド諸島バルバドスへ直行便を就航すること、並びに既存の北米路線の便数を増加することを発表。

2.経済指標

(1)12月末時点の公的債務残高
 経済財務省は、12月末時点の公的債務残高が233億74百万ドルで、前月比では92百万ドル(0.4%)減少したものの、前年同月比17億72百万ドル(8.2%)増加した旨発表。183億90百万ドルは海外借り入れ、残り49億83百万ドルは国内借り入れであった。
 
(2)1~11月期の新車販売台数
 会計検査院は、1月~11月の新車販売台数が52,969台で、前年同期比8,486台(13.8%)減少した旨発表。なお、毎月前年同月実績を割り込んできたが、前年同月比で20%以上の落ち込みは11月が初となる。
 
(3)1~11月期のコンテナ取扱量
 海事庁は、1月~11月の国内主要港湾でのコンテナ取扱量は634万6,198TEUとなり、前年同期比65万6,747TEU(11.5%)増加した旨発表。大西洋側のクリストバル港、コロンコンテナターミナル及びマンサニージョ港が好調で、特にクリストバル港は122万1,080TEUとなり、前年同期比52万2,627TEU(74.8%)増加している。
 
(4)1~11月期の建設許可金額
 会計検査院は、1月~11月の建設許可金額が19億96百万ドルで、前年同期比2億32百万ドル(13.2%)増加した旨発表。なお、総額の内、12億65百万ドルが住宅、7億31百万ドルが非住宅である。
 
(5)10月期の基礎食料品バスケット
 経済財務省は、10月期の基礎食品バスケットが、パナマ市及びサンミゲリート市で、前月比1.11ドル減の301.92ドルであった旨発表。なお、同値は前年同月比6.42ドル減である。

3.通商、自由貿易協定、国際経済関連

(1)共通報告基準(CRS)多国間協定(MCAA)への署名
 15日、パナマ外務省は、CRS多国間協定(MCAA)にプブリオ・コルテス国税庁(DGI)長官が署名したことを発表。同署名式には、OECDから河野正道OECD事務次長、モニカ・バーティア(Monica Bhatia)「税の透明性及び税務目的の情報交換に関するグローバル・フォーラム」局長が出席した。本協定への署名により、パナマは、CRSに基づく(税務における)金融口座に関する自動的な情報交換に参加することとなった。
 
(2)「一帯一路」構想に関するハイレベル会合の開催
 17日、パナマを訪問した王暁濤(Wang Xiaotao)中国国家発展改革委員会副主任とインカピエ外務次官は、「一帯一路」構想に関する第1回ハイレベル会合を開催し、パナマが「一帯一路」構想に参画したことで得られるチャンスへの理解を促進するため、中国政府がセミナーを開催することで合意した。また、同外務次官は、中国企業がラテンアメリカ市場へアクセスするための玄関口としてのパナマ運河、コロンフリーゾーン、航空及び鉄道プラットフォームの役割を強調した。
 
(3)EUのタックスヘイブン「ブラックリスト」からの脱却
 23日、EUは、ブリュッセルで財務相理事会を開催し、2017年12月5日に発表した課税逃れ対策に非協力的な国を指定したタックスヘイブン「ブラックリスト」からパナマを除外することを決定。リストから除外されたのは、パナマの他、韓国、アラブ首長国連邦等計8か国・地域で、これらの国・地域が文書で是正を約束したことを評価した。EUから制裁を受けるリスクが消え、風評リスクも回避できる。今後は国名等を公表しない「グレーリスト」へ移行し、引き続き監視を受けることとなる。
 
(4)バレーラ大統領の欧州訪問
 バレーラ大統領は、21日から26日まで、蘭及びスイスを公式訪問し、サイン・マロ副大統領兼外務大臣、デ・ラ・グアルディア経済財務大臣、カルレス農牧開発大臣、イム観光庁長官及びバラカット海事庁長官他が同行した。同大統領は、蘭スキポール空港幹部とオペレーション、セキュリティ及び空港のビジネスモデルについて意見交換し、その後アムステルダムで開催されたパナマ投資フォーラムへの参加、ロッテルダム港の視察後、マルク・ルッテ首相と会談し、農産物の物流管理、税務に関する透明性及び協力をはじめとする二国間の課題について協議した。また、スイスにおいて、同大統領はダボスでの世界経済フォーラム出席に加え、モスコビシ欧州委員(経済・財務及び税制担当)と会談し、パナマとEUの課題及び金融分野の透明性及び国際協力に関する進展について協議した。
 
(5)日・パナマ海事政策対話の開催
 23日、日本とパナマの関係強化及び海事分野に関する相互理解を深めることを目的として、第2回海事政策対話が開催され、日本のあきもと国土交通副大臣、キハーノ運河庁長官、モレノ海事庁副長官、ディアス在京大使の他、両庁幹部及び日本政府関係者等が出席した。船舶の解体に係る安全、国際海事機関における協力及びリーダーシップ並びに温室効果ガスの排出量に係る協力等について意見交換がなされた。また、モレノ海事庁副長官は、パナマ籍船を一時的に日本籍に移動させることに関する覚書 (MOU)を将来的に締結することもテーマの一つであった旨述べた。

4.インフラ関連

トクメン国際空港公社による社債発行
 トクメン国際空港公社は、4~5月を目途に空港の拡張計画を実施するための社債を発行する予定である旨発表。目標額は2億25百万ドルで、第三滑走路建設用の用地買収、既存インフラの改修、空港内のロジスティックパーク整備及び燃料供給システム構築等に充てられる。
 

5.経済指標は別添資料をご参照下さい。