パナマ経済(2017年12月報)
平成30年1月25日
在パナマ日本国大使館
担当:淡輪書記官
TEL:507-263-6155
FAX:507-263-6019
担当:淡輪書記官
TEL:507-263-6155
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主な出来事
●ECLACは、パナマのGDP成長率見通しとして、2017年は5.3%、2018年は5.5%と発表。
●当国政府は、2018年1月1日から2年間の最低賃金を従業員数10名以下の中小企業で4.5%、その他大企業で6.5%引き上げる旨政令を発出。
●EUは、パナマをタックスヘイブン「ブラックリスト」に掲載。
●パナマ運河庁役員会は、2017会計年度におけるパナマ運河庁から国庫への納付額を16億5千万ドルとすることを承認。
1.経済全般、見通し等
(1)ECLACによるGDP成長率見通しの発表
国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)は、中南米・カリブ海諸国の2017年の経済成長率が1.3%、2018年は2.2%になると予測。2018年には世界経済の伸びを受け、域内経済の中心であるブラジルの回復に牽引され、その他の国々でも成長が加速化するとみられる。(国別の成長率予測伸び率では、2017年はパナマが5.3%とトップで、2018年にも5.5%と予測される。次いで、ドミニカ共和国が2017年4.9%、2018年5.1%、ニカラグアは4.9%から5.0%となる見込み。ブラジルは2017年が0.9%に留まるが、2018年は2.0%。ベネズエラに関しては2017年がマイナス9.5%、2018年もマイナス5.5%の見込み。ECLACは、中南米地域の経済成長加速に向け、発展を維持するための公共政策を促進する必要があり、生産性向上及び地域経済の活性化等が急務と指摘した。)
(2)最低賃金の引き上げ
27日、当国政府は、政令75号を発出し、2018年1月1日から2年間の最低賃金を従業員数10名以下の中小企業で4.5%、その他大企業で6.5%引き上げる。本改定は、消費者物価指数、GDP成長率及び基礎食料品バスケット等に基づき実施され、34職種の賃金は、労働時間、経済活動、専門性及び企業規模等によって定められる。なお、月額給与は職種により異なるが、平均すると中小企業で約500ドル、大企業で約600ドルとなる。
(3)多国籍企業本部制度(SEM)の新規認定
貿易産業省(MICI)は、多国籍企業本部制度(SEM)認定企業として、新たに6社を認定し、総投資額は4百万ドル、総雇用者数は200人である旨発表した。2017年は計19社が認定され、2007年の本制度開始以降、合計149社が認定されており、10年間の総投資額は10億ドル、総雇用者数は6,000人。
(4)デル・モンテ社によるバナナ生産の開始
デル・モンテ社は、2018年1月よりチリキ県の農園にてバナナの生産を開始する旨発表。総投資金額は1億6百万ドル、農園面積は当初900ヘクタールで開始するが、最終的には3,600ヘクタールまで拡大し、約3,550人の直接雇用を創出する見込み。
(5)コパ航空によるパナマ・米国デンバー間の直行便就航
コパ航空は、パナマ・米国デンバー間の直行便を週4便で就航開始。
国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)は、中南米・カリブ海諸国の2017年の経済成長率が1.3%、2018年は2.2%になると予測。2018年には世界経済の伸びを受け、域内経済の中心であるブラジルの回復に牽引され、その他の国々でも成長が加速化するとみられる。(国別の成長率予測伸び率では、2017年はパナマが5.3%とトップで、2018年にも5.5%と予測される。次いで、ドミニカ共和国が2017年4.9%、2018年5.1%、ニカラグアは4.9%から5.0%となる見込み。ブラジルは2017年が0.9%に留まるが、2018年は2.0%。ベネズエラに関しては2017年がマイナス9.5%、2018年もマイナス5.5%の見込み。ECLACは、中南米地域の経済成長加速に向け、発展を維持するための公共政策を促進する必要があり、生産性向上及び地域経済の活性化等が急務と指摘した。)
(2)最低賃金の引き上げ
27日、当国政府は、政令75号を発出し、2018年1月1日から2年間の最低賃金を従業員数10名以下の中小企業で4.5%、その他大企業で6.5%引き上げる。本改定は、消費者物価指数、GDP成長率及び基礎食料品バスケット等に基づき実施され、34職種の賃金は、労働時間、経済活動、専門性及び企業規模等によって定められる。なお、月額給与は職種により異なるが、平均すると中小企業で約500ドル、大企業で約600ドルとなる。
(3)多国籍企業本部制度(SEM)の新規認定
貿易産業省(MICI)は、多国籍企業本部制度(SEM)認定企業として、新たに6社を認定し、総投資額は4百万ドル、総雇用者数は200人である旨発表した。2017年は計19社が認定され、2007年の本制度開始以降、合計149社が認定されており、10年間の総投資額は10億ドル、総雇用者数は6,000人。
(4)デル・モンテ社によるバナナ生産の開始
デル・モンテ社は、2018年1月よりチリキ県の農園にてバナナの生産を開始する旨発表。総投資金額は1億6百万ドル、農園面積は当初900ヘクタールで開始するが、最終的には3,600ヘクタールまで拡大し、約3,550人の直接雇用を創出する見込み。
(5)コパ航空によるパナマ・米国デンバー間の直行便就航
コパ航空は、パナマ・米国デンバー間の直行便を週4便で就航開始。
2.経済指標
(1)1~9月期のGDP実績
会計検査院は、1月~9月の実質GDP実績が297億2,440万ドルで、前年同期比15億6,750万ドル(5.6%)増加した旨発表。運河の通航料収入などの増加で、運輸・倉庫・通信業が11.8%増と大幅伸長。また、メトロ2号線、運河第三架橋、コロン県の銅鉱山及び天然ガスプラントの建設等で、建設業と鉱業がともに9.2%増となり、成長を牽引した。
(2)1~10月期の月間経済活動指数
会計検査院は、1月~10月の月間経済活動指数(IMAE)が前年同期比5.4%増加した旨発表。主に運輸、倉庫及び通信業が引き続き好調で、その他建設及び鉱業等も好調であった。
(3)11月末時点の公的債務残高
経済財務省は、11月末時点の公的債務残高が234億66百万ドルで、前年同月比19億47百万ドル(9.0%)、前月比47百万ドル(0.2%)増加した旨発表。
(4)2017年8月の失業率
会計検査院は、2017年8月の失業率が6.0%、失業者数が113,299人で、前年同月の失業率5.5%、失業者数102,944人から悪化した旨発表。特に、15才から24才の若年層の失業率が高く、失業者数全体の43.4%が若年層である。
(5)1~10月期の新車販売台数
会計検査院は、1月~10月の新車販売台数が49,413台で、前年同期比7,563台(13.3%)減少した旨発表。車種別では、SUVのみ16,733台から16,999台に増加したが、その他車種は軒並み減少した。
(6)1~10月期のコンテナ取扱量
海事庁は、1月~10月の国内主要港湾でのコンテナ取扱量は578万5,539TEUとなり、前年同期比65万3,151TEU(12.7%)増加した旨発表。前年同期比でクリストバル港が84.3%、バルボア港が4.6%、マンサニージョ港が3.3%増加している。
(7)1~10月期のコロンフリーゾーン取扱高
コロンフリーゾーン庁は、1月~10月のコロンフリーゾーン取扱高が164億13百万ドルとなり、主に輸入減少を背景に前年同期比3億22百万ドル(1.9%)減少した旨発表。他方、多国籍企業の進出に伴い、再輸出は87億47百万ドルと前年同期比0.3%増加している。
会計検査院は、1月~9月の実質GDP実績が297億2,440万ドルで、前年同期比15億6,750万ドル(5.6%)増加した旨発表。運河の通航料収入などの増加で、運輸・倉庫・通信業が11.8%増と大幅伸長。また、メトロ2号線、運河第三架橋、コロン県の銅鉱山及び天然ガスプラントの建設等で、建設業と鉱業がともに9.2%増となり、成長を牽引した。
(2)1~10月期の月間経済活動指数
会計検査院は、1月~10月の月間経済活動指数(IMAE)が前年同期比5.4%増加した旨発表。主に運輸、倉庫及び通信業が引き続き好調で、その他建設及び鉱業等も好調であった。
(3)11月末時点の公的債務残高
経済財務省は、11月末時点の公的債務残高が234億66百万ドルで、前年同月比19億47百万ドル(9.0%)、前月比47百万ドル(0.2%)増加した旨発表。
(4)2017年8月の失業率
会計検査院は、2017年8月の失業率が6.0%、失業者数が113,299人で、前年同月の失業率5.5%、失業者数102,944人から悪化した旨発表。特に、15才から24才の若年層の失業率が高く、失業者数全体の43.4%が若年層である。
(5)1~10月期の新車販売台数
会計検査院は、1月~10月の新車販売台数が49,413台で、前年同期比7,563台(13.3%)減少した旨発表。車種別では、SUVのみ16,733台から16,999台に増加したが、その他車種は軒並み減少した。
(6)1~10月期のコンテナ取扱量
海事庁は、1月~10月の国内主要港湾でのコンテナ取扱量は578万5,539TEUとなり、前年同期比65万3,151TEU(12.7%)増加した旨発表。前年同期比でクリストバル港が84.3%、バルボア港が4.6%、マンサニージョ港が3.3%増加している。
(7)1~10月期のコロンフリーゾーン取扱高
コロンフリーゾーン庁は、1月~10月のコロンフリーゾーン取扱高が164億13百万ドルとなり、主に輸入減少を背景に前年同期比3億22百万ドル(1.9%)減少した旨発表。他方、多国籍企業の進出に伴い、再輸出は87億47百万ドルと前年同期比0.3%増加している。
3.通商、自由貿易協定、国際経済関連
(1)EUによるタックスヘイブン・リストへの掲載
5日、欧州連合(EU)は、ブリュッセルで財務相理事会を開催し、税逃れの動きに警鐘を鳴らすため、タックスヘイブン(租税回避地)と認定した17カ国・地域の「ブラックリスト」を公表した。同リストには当国を含め、韓国及びアラブ首長国連邦、バーレーン、グアム、マカオ、マーシャル諸島、モンゴル、サモア及びチュニジア等が盛り込まれた。これらの国・地域に対しては、今後、金融支援の制限などの措置が検討される。EUは2016年に本リスト作成に着手したが、著名人や政治家らによるタックスヘイブンを通じた投資を明らかにした「パラダイス文書」が2017年11月に報じられたことで、税逃れへの批判が強まり、作業を加速させていた。
(2)中国とのFTA交渉
7日、アロセメナ貿易産業大臣は「中国とのFTA交渉開始は2018年6月からを予定しており、締結に至ればラ米諸国の中では4か国目となる。パナマにとって重要な点は、ロジスティックハブの強化、貿易と投資の誘致及び産業振興が挙げられる。政府は産業に関する法整備を進めており、高い技術を有し、パナマ運河を通過する貨物に付加価値を与えることの出来る中国企業に、地理的優位性を利用し進出してもらいたい。」旨発言した。
(3)中国・パナマ間の直行便就航に向けた協議の開始
19日、トクメン空港公社は、中国国際航空が2018年3月より開始予定の中国・パナマ便(ヒューストン経由)の就航に向け、同社幹部と協議を開始した旨発表。中国国際航空は、トクメン国際空港の管理、運用、安全、技術、入管及び税関担当者と協議し、併せて燃料供給、航空機離発着、食料ケータリング、気象分析及び航路分析に係る各代表者とも打合せを行った。また、同社はパナマに中米地域事務所を設立し、今後パナマ人スタッフの雇用を開始することも発表した。
(4)パンダ債の発行検討
デ・ラ・グアルディア経済財務大臣は、当国政府は2018年に中国においてパンダ債を発行する可能性を模索しているが、利率、期間及び金融機関等については何ら決定していない旨発表。パンダ債の金額は、通常3億~5億ドルであるが、パナマが検討している金額も決定していない。資金使途も明確にはなっておらず、発行済み国債の借換え若しくは新規発行の位置付けかも決定していないが、経済財務省は、少なくともパナマ国内での投資プロジェクトに資金調達に関するものではなく、国家予算を編成するための資金調達ソースを求めて国際市場に出ることを強調した。なお、当国は2011年に日本のサムライ債を5億ドル発行している。
5日、欧州連合(EU)は、ブリュッセルで財務相理事会を開催し、税逃れの動きに警鐘を鳴らすため、タックスヘイブン(租税回避地)と認定した17カ国・地域の「ブラックリスト」を公表した。同リストには当国を含め、韓国及びアラブ首長国連邦、バーレーン、グアム、マカオ、マーシャル諸島、モンゴル、サモア及びチュニジア等が盛り込まれた。これらの国・地域に対しては、今後、金融支援の制限などの措置が検討される。EUは2016年に本リスト作成に着手したが、著名人や政治家らによるタックスヘイブンを通じた投資を明らかにした「パラダイス文書」が2017年11月に報じられたことで、税逃れへの批判が強まり、作業を加速させていた。
(2)中国とのFTA交渉
7日、アロセメナ貿易産業大臣は「中国とのFTA交渉開始は2018年6月からを予定しており、締結に至ればラ米諸国の中では4か国目となる。パナマにとって重要な点は、ロジスティックハブの強化、貿易と投資の誘致及び産業振興が挙げられる。政府は産業に関する法整備を進めており、高い技術を有し、パナマ運河を通過する貨物に付加価値を与えることの出来る中国企業に、地理的優位性を利用し進出してもらいたい。」旨発言した。
(3)中国・パナマ間の直行便就航に向けた協議の開始
19日、トクメン空港公社は、中国国際航空が2018年3月より開始予定の中国・パナマ便(ヒューストン経由)の就航に向け、同社幹部と協議を開始した旨発表。中国国際航空は、トクメン国際空港の管理、運用、安全、技術、入管及び税関担当者と協議し、併せて燃料供給、航空機離発着、食料ケータリング、気象分析及び航路分析に係る各代表者とも打合せを行った。また、同社はパナマに中米地域事務所を設立し、今後パナマ人スタッフの雇用を開始することも発表した。
(4)パンダ債の発行検討
デ・ラ・グアルディア経済財務大臣は、当国政府は2018年に中国においてパンダ債を発行する可能性を模索しているが、利率、期間及び金融機関等については何ら決定していない旨発表。パンダ債の金額は、通常3億~5億ドルであるが、パナマが検討している金額も決定していない。資金使途も明確にはなっておらず、発行済み国債の借換え若しくは新規発行の位置付けかも決定していないが、経済財務省は、少なくともパナマ国内での投資プロジェクトに資金調達に関するものではなく、国家予算を編成するための資金調達ソースを求めて国際市場に出ることを強調した。なお、当国は2011年に日本のサムライ債を5億ドル発行している。
4.パナマ運河
(1)2017会計年度における国庫納付額
14日、パナマ運河庁役員会は、2017会計年度におけるパナマ運河庁から国庫への納付額を16億5千万ドルとすることを承認。内訳は、11億94百万ドルが運河運用費の余剰分で、前年度比89.2%増加となった他、4億54百万ドルが運河を通過した貨物の重量に応じて規定されているもの、2百万ドルは他政府機関が実施した運河関連サービスに要した費用である。同会計年度において、前年度比22.2%増となる4億380万トンの貨物が通過し、同じく3.3%増となる13,548隻の船舶が通航した。2018会計年度においては、2,335隻以上のネオパナマックス船を含む13,000隻以上の通航隻数及び4億2,940万トンの通過貨物量が見込まれる。
(2)運河貯水湖における水位の改善
15日、パナマ運河庁は、直近数週間続いていた運河貯水湖(アラフエラ湖及びガトゥン湖)の水位が日付毎に設定された基準値を下回る減少が解消されたこと並びに今後迎える乾期においてはラ・ニーニャ現象による降雨の可能性がある旨発表した。
メトロ公社は、メトロ2号線建設計画におけるトクメン国際空港までの延伸区間の建設に係る入札公示が2018年第1四半期となる見込みを示した。なお、同延伸区間の建設費用は1億25百万ドル程度が見込まれている。
(2)パナマ運河第三架橋建設計画の進捗等
パナマ運河庁は、パナマ運河第三架橋建設計画の進捗は76%である旨報告。同計画は、3億48百万ドルの予算により2013年から開始されており、桁下高さはネオパナマックス船の通航が可能な75mの確保が予定されている。また、パナマ運河庁の担当者は、8百万ドルの予算によるガンボアにおける新たな橋梁(2車線)の建設計画がアイディアとして存在する旨述べた。
14日、パナマ運河庁役員会は、2017会計年度におけるパナマ運河庁から国庫への納付額を16億5千万ドルとすることを承認。内訳は、11億94百万ドルが運河運用費の余剰分で、前年度比89.2%増加となった他、4億54百万ドルが運河を通過した貨物の重量に応じて規定されているもの、2百万ドルは他政府機関が実施した運河関連サービスに要した費用である。同会計年度において、前年度比22.2%増となる4億380万トンの貨物が通過し、同じく3.3%増となる13,548隻の船舶が通航した。2018会計年度においては、2,335隻以上のネオパナマックス船を含む13,000隻以上の通航隻数及び4億2,940万トンの通過貨物量が見込まれる。
(2)運河貯水湖における水位の改善
15日、パナマ運河庁は、直近数週間続いていた運河貯水湖(アラフエラ湖及びガトゥン湖)の水位が日付毎に設定された基準値を下回る減少が解消されたこと並びに今後迎える乾期においてはラ・ニーニャ現象による降雨の可能性がある旨発表した。
5.インフラ関連
(1)メトロ2号線延伸計画メトロ公社は、メトロ2号線建設計画におけるトクメン国際空港までの延伸区間の建設に係る入札公示が2018年第1四半期となる見込みを示した。なお、同延伸区間の建設費用は1億25百万ドル程度が見込まれている。
(2)パナマ運河第三架橋建設計画の進捗等
パナマ運河庁は、パナマ運河第三架橋建設計画の進捗は76%である旨報告。同計画は、3億48百万ドルの予算により2013年から開始されており、桁下高さはネオパナマックス船の通航が可能な75mの確保が予定されている。また、パナマ運河庁の担当者は、8百万ドルの予算によるガンボアにおける新たな橋梁(2車線)の建設計画がアイディアとして存在する旨述べた。
6.経済指標は別添資料をご参照下さい。
- 主要経済指標(2017年12月)(Excel)
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