パナマ経済(2017年8月報)

平成29年9月11日
在パナマ日本国大使館
担当:淡輪書記官
TEL:507-263-6155
FAX:507-263-6019

主な出来事
●国連ラ米・カリブ経済委員会は、本年のパナマGDP成長率見通しを5.6%と発表。
●パナマ運河通航料の改定が閣議にて承認され、本年10月1日より適用開始となる。
●過去最大船舶のコンテナ船「セオドア・ルーズベルト号」がパナマ運河を通航。
 

1.経済全般、見通し等

(1)公共調達法改正法案の可決
 パナマ議会は、公共調達法改正法案を可決した。公共調達法は、中央省庁、地方自治体及び独立行政法人が実施する公共調達の原則を定めた基本法であり、政府が過半数の株式を保有する企業、並びに国有財産に係る入札も対象となる。エドゥアルド・コロ大統領府公共調達局長は、「本法案は、透明性と効率性、並びに平等性と競争性のバランスを目的としたものであり、国益の保護及び公共調達における応札業者の参加促進を柱とした」旨発言した。
 
(2)国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会によるGDP成長率見通しを発表
 国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(CEPAL)は、2017年のGDP成長率見通しを発表。パナマは5.6%で域内トップ、次いでドミニカ共和国5.3%、コスタリカ4.1%と続く。CEPALは本年4月にパナマの成長率見通しを5.2%と発表していたが、建設業、運輸業、通信業及び金融業の業績好調や、運河通航料の収入増加及び公的機関の赤字削減等を反映し、今回上方修正した。
 
(3)トクメン国際空港第2ターミナル建設
 トクメン国際空港は、現在建設中の第2ターミナルについて、当初は18年6月に完工の予定であったが、同年9月に遅延する旨発表。ターミナル建設工事の進捗は75%に達し順調に進んでいるが、空港内の変電所や燃料タンクの建設が遅れている。

2.経済指標

(1)5月期の基礎食料品バスケット
 会計検査院は、5月期の基礎食料品バスケットが$306.19で、前月比$1.60(0.52%)減少した旨発表。減少の要因として、牛肉、野菜、果物等の価格下落が挙げられた。
 
(2)1~6月期の国内港湾への船舶入港隻数
 パナマ海事庁(AMP)は、1月~6月期の国内港湾への入港隻数が29,216隻となり、前年同期比で1,018隻(3.4%)減少した旨発表。なお、第三閘門開通による船舶大型化に伴い、効率化が進んだため入港隻数は減少しているが、取扱貨物量は前年同期比13%増加している。
(3)1~6月期の新車販売台数
 会計検査院は、1月~6月の新車販売台数が29,287台で、前年同期比3,876台(11.7%)減少した旨発表。自動車販売協会は、販売台数減少の要因として、消費者の消費傾向に変化が生じていること等を挙げた。他方、SUV車の販売は引き続き好調で、直近4年間の上半期実績ではSUV車の市場占有率は30%を下回っていたが、本年上半期の販売台数は9,766台と約33%を占める。
 
(4)公共投資額、財政赤字額及び公的債務残高
 経済財務省(MEF)は、1月~6月の非金融公的部門における公共投資額は15億37百万ドルで、前年同期比で1億51百万ドル(8.9%)減少。財政赤字額は2億26百万ドルで、前年同期比で1億4百万ドル(85.2%)増加した旨発表。また、7月末時点の公的債務残高は230億64百万ドルで、前年同月比で14億95百万ドル(6.9%)増加した旨発表した。デ・ラ・グアルディア経済財務大臣は、財政赤字上限(今年度はGDPの1.0%以下)や公的財務残高上限(GDPの40%以下)について規定した財政責任法に準拠している旨併せて言及した。

3.通商、自由貿易協定、国際経済関連

(1)1~6月期の輸出状況
 会計検査院は、1月~6月の輸出額は3億31百万ドルで、前年同期比8百万ドル(3.2%)増加した旨発表。直近5年間では2014年をピークにその後減少傾向にあったが、エビ、魚粉・魚油等の海産物、並びにコーヒー、衣服及び牛肉等の輸出が大きく伸びたことから反転した。
 
(2)ベタンクール治安大臣及びロペス国家安全保障会議局長の中国訪問
 9日、ベタンクール大臣及びロペス局長と共にグオ中国外交部領事局長との会合に出席したウォン・パナマ外務省外交政策局長は、「上海は、中国における海事、貿易及び金融にとって極めて重要な都市である。中国からの観光客、投資及び中国企業の誘致促進のため、バレーラ大統領は、在上海総領事館の開設を最優先事項としている」旨述べた。
 
(3)バレーラ大統領とペンス米副大統領の会談
 17日、大統領府において、ペンス米副大統領と会談したバレーラ大統領は、「パナマは、米国の同盟国であり、戦略的パートナーであることを明確にした。パナマの民主主義体制及び経済は安定している。パナマは、米国企業のパナマへの投資及び現政権が進めているインフラ事業への参加に強い関心を有する」旨述べた。
 
(4)サイン・マロ副大統領兼外務大臣と韓国国務総理及び外交部長の会談
 韓国を訪問したサイン・マロ副大統領兼外務大臣は、李・韓国国務総理及び康・韓国外交部長と会談し、韓国との二国間関係を強化し、韓国にとってパナマがラ米・カリブ地域へのゲートウェイとして確固たるものになるとのバレーラ大統領の関心を伝達した。

4.パナマ運河

(1)パナマ運河通航料改定に係る閣議決定
 8日、パナマ運河の通航料体系の改定が、閣議にて承認された。パナマ運河庁は、パブリックコメント及び7月5日の公聴会にて聴取したコメントを踏まえ、コンテナ船については、往復でパナマ運河を利用するネオパナマックス船に適用される割引単価の適用条件について修正(北向きの往航から南向きの復航までの期間について、当初「25日」未満としていたが、「28日」未満に修正)した。なお、コンテナ船以外の船舶の通航料については、改定案がそのまま承認された。今後、改定された通航料は、本年10月1日から適用開始となる。
 
(2)過去最大船舶によるパナマ運河通航
 22日、過去最大となる14,855TEUの容量を持つフランスの海運会社CMA・CGM社が運航するコンテナ船「セオドア・ルーズベルト号」がパナマ運河を通航した。同船舶は、アジアと米国東岸とを結ぶためにオーシャン・アライアンスが提供するウィークリーサービスであるSAX(South Atlantic Express)航路に投入されており、上海港を出港した後、米国東岸のノーフォーク港、サバナ港、チャールストン港及びニューヨーク/ニュージャージー港に寄港した。
 

5.インフラ関連

(1)公衆衛生を担う公社の設立
 8日、下水処理プラントや下水集水システムの管理を担う公社(La Empresa Publica de Saneamiento de Panama S.A.)の設立について、議会にて承認された。同公社は、パナマ市、サン・ミゲリート市、アライハン市及びラ・チョレーラ市の公衆衛生を担う見込み。
 
(2)シンタ・コステラの延伸
 22日、ブランドン・パナマ市長は、世界銀行がシンタ・コステラをパナマ市東部のフアン・ディアスまで延伸するためのフィージビリスタディーへの融資を行う旨述べた。第1フェーズ(プンタ・パイティージャ - プンタ・パシフィカ間)、第2フェーズ(ボカ・ラ・カハ - パナマ・ビエホ間)及び第3フェーズ(コスタ・デ・エステ - リオ・フアン・ディアス間)となる見込み。
 

6.経済指標は別添資料をご参照下さい。