パナマ経済(2017年3月報)

平成29年4月12日
在パナマ日本国大使館
担当:大森書記官
TEL:507-263-6155
FAX:507-263-6019

主な出来事
● 3日、会計検査院は2016年のGDP(実質)が前年比17億4,020万ドル増の374億7,180万ドル、同年の経済成長率は4.9%であったと発表。

1 経済一般

(1)「第13回パナマ海事展」の開催
 12日~15日、「第13回パナマ海事展」が開催され、林IMO事務局長を始め、アジア、欧州及び米国の海事関係者等約300名が出席した。同イベントは2年毎に開催され、本年は、第四次産業革命が海事に与える影響、船舶建設への融資及び世界経済の展望等がメインテーマとして扱われた。
 
(2)アンデス開発公社による融資
 14日、アンデス開発公社(CAF)は、パナマに対して計1億7,000万ドルの融資を発表。内訳は、高等技術学校建設に7,500万ドル、ブルンガ市並びにアライハン市の下水処理施設の建設に9,500万ドルとなる予定。
 
(3)インフラ資金調達のための米州協力公社による拠点設立
 16日、インフラ資金調達のための米州協力公社(Corporation Interamericana para el Financiamiento de Infraestructura:CIFI)は、パナマに域内拠点事務所を設立した。同公社は、世銀、中米統合銀行及びノルウェー投資銀行が主な出資源となっており、域内各国の中小規模インフラ整備プロジェクトへの資金調達の強化を進める予定。なおCIFIはパナマ進出の背景とし、アクセスの良さ、ドル経済及び国際金融センターの存在と成熟した金融市場を理由に挙げている。
 
(5)パナマにおける海外送金
 会計検査院は、2014年から2016年の間において、パナマからの海外送金が2億441万ドル増加した一方、パナマへの海外送金が2億2,580万ドル減少したと発表。パナマへの移住者が増加傾向にあることが主な要因。
 
(6)停電による経済損失額
 商工会議所は、17日及び20日に発生した大規模停電により、1時間あたり130万ドルの経済損失が発生した旨の分析結果を発表。なお今回の停電による最大の被害者は、自家発電機を有さない中小企業であった旨発表。なお、23日、バリア国営送電公社(ETESA)長官は、3月31日付での辞任を発表。レンダル副長官が後任予定。
 
(7)国際見本市展(EXPOCOMER)の開催
 22日~25日、国際見本市展(EXPOCOMER)が開催され、計30ヶ国から約400社が出展。主催者である商工会議所によると、来場者数1万6,788人、ビジネス成約額(見込み含む)は1億3,500万ドル。
 
(8)国連ラテンアメリカ・カリブ委員会による対中ビジネス関係へのコメント
 プラド国連ラテンアメリカ・カリブ委員会(CEPAL)副事務局長は、中南米・カリブ諸国による対中貿易の多様性の必要性につき発言し、特に、現在コモディティへの依存度が高いことから、貿易構造を改善するためにも、中国との対話を促進すべきである旨勧告した。
 
(9)第四送電線建設プロジェクトに関する世銀とのコンサルタント契約
 国営送電公社(ETESA)は、第四送電線建設プロジェクト(ボカス・デル・トロからパナマ市内)に関し、世界銀行とコンサルタント契約を締結する旨発表。同プロジェクトは1年間にわたり入札準備を進めてきたものの、企業側の理解を得ることが出来なかったため、今後、世銀のコンサルタントが、融資及び建設に関するメカニズムを構築する予定。なお、投資額は約5億5,000万ドル。

2 通商、自由貿易協定、国際経済関連

(1)パナマ・米国関係の見通し
 11日、ロッチ米国元外交官は、パナマ商工会議所主催のイベントにて、パナマ・米関係は外交・商業関係共に引き続き良好である旨発言。特に、商業関係は、トランプ新政権が多国籍の自由貿易協定に反対する一方、二国間の自由貿易協定は続ける方針であるため、パナマ・米国FTAに悪影響を与えることはない旨説明した。なお、今後の両国の共通課題として移民問題を挙げた。
 
(2)伯産食肉の輸入規制
 22日、食料安全庁(AUPSA)は加工肉(スパム肉、缶詰ソーセージ)を含む伯産食肉の輸入を、同国の取り締まり規制が整備されるまで禁止する旨発表。なお、摘発対象工場からの食肉輸入実績はなかった旨併せて公表した。
 
(3)ドバイへのビジネスミッションの来訪
 30日、貿易産業省(MICI)は、貿易・投資促進機関であるPROINVEXと共に、投資家年次総会(Annual Investment Meeting 2017)に出席すべく、ドバイを訪問した。同総会には約140ヶ国のハイレベル政府関係者を含む約1万5,000人が出席。また、アロセメナ貿易産業大臣は、ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム・ドバイ首長国首長兼UAE副大統領と、パナマ・UAE関係の強化を目的として会談したほか、パナマへの直行便就航に関心を有するエミレーツ航空幹部と協議を行った。

3 パナマ運河及びインフラ関連

 パナマ運河庁(ACP)は、運河近隣の約1,200haの土地に物流エリア、液化天然ガスセンター及びロール・オン/ロール・オフセンター等を建設する事業を本年末に発注する考えを示した。本事業は5~7年をかけ、約10億ドルの事業費にて実施される見込み。

4 経済指標、経済見通し等

(1)2016年12月期の基礎食料品バスケット
 経済財務省(MEF)は、2016年12月の基礎食料品バスケットにつき、パナマ市及びサンミゲリート市で前年同月比$4.49ドルの$307.99、郊外では同$2.74増の$280.94であったと発表。
 
(2)2016年の海外直接投資額
 会計検査院は2016年の海外直接投資額(FDI)が前年比7億1,500万ドル増の52億900万ドルであったと発表。投資の内66.5%が再投資であった。また投資の79%が企業によるもの、14.6%が金融機関によるもの、6.3%がコロンフリーゾーン内におけるものであった。
 
(3)2016年のGDPの発表
 3日、会計検査院は、2016年のGDP(実質)が前年比17億4,020万ドル増の374億7,180万ドル、経済成長率は4.9%であったと発表した。
 
(4)1月期のコンテナ取扱量
 海事庁(AMP)は、1月末時における国内主要港湾におけるコンテナ取扱量が前年同月比17.5%増の59万7,000TEUであり、不調が続いた海事セクターに回復の兆候が見られると評価した。
 
(5)IMFによる2017年の経済成長率見通し
 IMFは2017年の経済成長率を5.1%とする見通しを発表。拡張運河の通航料及び国内の大型インフラ事業が経済を牽引すると分析。
 
(6)2月末の公的債務残高額
 経済財務省(MEF)は、2月末の公的債務残高額が前月比990万ドル減(前年同月比16億1,500万ドル増)の218億4,200万ドルであったと発表。
 
(7)経済指標は別添資料をご参照ください。