パナマ経済(2016年8月報)
平成28年9月15日
在パナマ日本国大使館
担当:大森書記官
TEL:507-263-6155
FAX:507-263-6019
主な出来事担当:大森書記官
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● 25日、日本との租税情報交換協定に署名。OECDが定める国際基準(Common Reporting Standard : CRS)に基づくパナマにとり初めての二国間協定。
● パナマ政府は、国内経済及び国際ビジネスの改善を目的に、パナマに対して差別的な対応を行った国に対し、関税措置、移民・労働規制、国内のコンセッション参画の規制等の措置を講じることを定める報復措置法改正法案を議会に提出。
● 「船舶バラスト水規制管理条約」への加盟が、議会にて承認された。
1 経済一般
(1)テキサスからのビジネスミッション来訪在テキサス企業約30社から構成されるビジネスミッションがパナマを訪問。ヒューストン港に寄港する船舶の約38%がパナマ運河を利用している中、運河拡張を機に、主に運輸サービス及び金融セクターにおいて、パナマとのビジネス関係を強化することが目的。
(2)報復措置法の改正
2日、報復措置法改正法案の議会提出が閣議にて了承された。本改正法案は、国内経済及び国際ビジネスの改善を目的に、パナマに対して差別的な対応を行った国に対し、(1)海外への配当金及び送金時の課税措置、(2)パナマへの輸入品の関税措置、(3)移民・労働規制、(4)パナマにおけるコンセッション参画の停止及び規制。また商業、公的サービス、運搬サービス、鉱物の発掘、再生可能エネルギー等の仕様に関する承認の停止及び規制等の措置が講じられる。(一部報道では本改正法案は、コロンビア及び仏を念頭に置いているものとしている。)
(3)一部輸入品目の関税引き上げ
2日、花、衣服、石炭及びセメントの輸入関税を引き上げることが閣議にて了承された。適用期間は、本年8月16日から12月31日迄で、FTA締結国を除く全ての国が対象となる。パナマ政府は引き上げの理由を「国内産業の保護」としている。(一部報道では、パナマから再輸出される製品に対し複合課税を課すコロンビアに対する報復的な対応であるとしている。)
(4)コロンフリーポート法の発効
4日、コロンフリーポート法が発効。アロセメナ貿易産業大臣は、本法の発効はコロン市の観光活性化に繋がり、同地区経済に寄与することを期待する旨発言。
(5)第4送電線建設計画の進捗
国営送電公社(ETESA)は第4送電線建設の事前調査を開始したと発表。同送電線総長330km、送電能力は1280MvH(通常時)を予定しており、市内への安定的な電力の供給が期待される。建設予定額は5億ドルになる見込み。同プロジェクトの入札は、現在工事が進む第3送電線(進捗率90%)が完成次第実施される予定。
(6)パナマ・パシフィコ経済特区による追加投資
パナマ・パシフィコ経済特区は、現在計画が進む第四運河橋及びパンアメリカンハイウェイ拡張工事による交通量増加を見越し、今後10年間に経済特区内のインフラ及び商業エリア整備のための約1億ドルの投資を行う旨発表。現在、同特区内でビジネスを行う多国籍企業数は約250社。
2 通商、自由貿易協定、国際経済関連
(1)「船舶バラスト水規制管理条約」の加盟に関する議会承認「二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿水物の規制及び管理のための国際条約」(略称:船舶バラスト水規制管理条約)の加盟に向けた手続きが、議会にて承認された。本条約の発効は、世界の商船船腹量の35%を超えることが条件であるが、現時点における批准国の船腹量は34.87%であり、商船船腹量約18%を有するパナマの加盟により、本条約の発効条件を満たすことになる。条約発効は、国際海事機構(IMO)がパナマの条約加盟を承認してから12ヶ月後になる見通し。なお、ソロルサノ海事庁(AMP)商船局長は、パナマ議会承認の後、IMOへの通知までに約2か月程度有する旨発言。
(2)日・パナマ租税情報交換協定への署名
25日、パナマと日本との租税情報交換協定署名式が外務省にて実施された。本協定は、OECDが策定した国際基準(Common Reporting Standard : CRS)に基づく金融口座の情報交換に必要な自動的情報交換を含む両税務当局間における実効的な情報交換について規定するものであり、一連の国際会議等で重要性が確認されている国際的な脱税及び租税回避行為の防止に資することが期待される。なお、本協定は、パナマにとりOECDが定める国際基準に基づく初めての二国間協定となる。
3 パナマ運河及びインフラ関連
(1)パナマ運河通航船舶への喫水制限5日、パナマ運河庁(ACP)は、第三閘門を通航する船舶の最大喫水を
13.11mから13.41mとする旨を発表。
(2)メトロ2号線建設工事
15日、メトロ2号線建設工事における桁架設が開始。全体進捗20%。
(3)第四運河橋建設計画
19日、公共事業省(MOP)は第四運河橋建設工事への入札参加社を選定する事前審査結果に関し、応募のあった6社(共同企業体)全てが適格であったと発表。
(4)運河庁2017年度予算案の承認
30日、議会はACPの2017年度(2016年10月1日~2017年9月30日の期間)予算案を承認。同案によると、総収入は28億6,520万ドル、運営費は10億2,200万ドルとされている。キハーノACP長官は、直接国庫納付額を16億60万ドル、間接国庫納付額を2億8,050万ドルとなる見通しを発表。
4 経済指標、経済見通し等
(1)本年度上半期の財政赤字経済財務省(MEF)は、本年度上半期の財政赤字が前年同期比5億1,900万ドル減の1億2,900万ドルであったと発表。対GDP比も1.0ポイント減の0.2%であった。大幅減の要因として、税収増(12.3%増)があった一方、支出は前年同期比1.3%に抑えられたことが挙げられる。デ・ラ・グアルディアMEF大臣は、下半期は運河庁(ACP)からの国庫納付が予定されていることに加え、年末に向けて更なる税収増が見込まれる旨発表。
(2)本年度上半期のコロンフリーゾーンの売り上げ
会計検査院は、本年度上半期のコロンフリーゾーンにおける売上額が前年同期比13.3%減(14億2,800万ドル減)であったと発表。同ゾーンの売り上げ額は2012年以来、下降が続いている。
(3)7月末時の公的債務残高
経済財務省(MEF)は、7月末時点の公的債務残高が前月比0.45%減の192億8,640万ドルになったと発表。
(4)本年度上半期のコンテナ取扱量
海事庁(AMP)は、本年度上半期の国内港湾におけるコンテナ取扱量が、前年同期比12.8%減であったと発表。本減少の要因として、一次産品輸出への依存度の高い域内各国(ベネズエラ、コロンビア、チリ及びブラジル)における経済の鈍化によりが挙げられる。
(5)本年度上半期におけるホテル稼働率
会計検査院は、本年度上半期の国内ホテル稼働率が45.9%であったと発表。観光客数は増加傾向にあるものの、ホテル稼働率の下降は部屋の供給過多に因るとされている。
(6)本年度上半期の新車販売台数
会計検査院は、本年度上半期の新車販売台数が前年同期7.3%増の3万3,164台だったと発表。うち、9,568台がSUVタイプ(前年同期比18.3%増)、5,111台がピックアップトラックタイプ(同35.3%増)であった。
(7)経済指標は別添資料をご参照ください。
- 主要経済指標(8月次)(Excel)
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