パナマ経済(2016年7月報)

平成28年8月8日
在パナマ日本国大使館
担当:大森書記官
TEL:507-263-6155
FAX:507-263-6019

主な出来事
● 15日、外務省はOECDによる「租税に関する相互行政支援に関する条約」(税務行政執行共助条約:MAC)に署名する意思があるとOECDに通知した旨プレスリリースを発表した。
● 26日、デ・ラ・グアルディア経済財務大臣は、2017年度予算を議会に提出。予算額は今年度比8%増の216億7,000万ドル。
 

1 経済一般

(1)パナマコーヒーのオークション結果
 6月30日に開催された「ザ・ベスト・オブ・パナマ2016」受賞スペシャルティ・コーヒー専門のインターネットオークションにおいて、エリーダ・ゲイシャ・グリーン・ティップ・ウォッシュドが1ポンド当たり275.50ドルにて日本のサザ・コーヒーによって落札された。また、同月23日から25日にダブリンにて開催されたワールド・オブ・コーヒー・2016において、パナマ産コーヒー豆の売上高は、総額11万1,000ドルであり、同イベントで開催された、バリスタ部門(優勝者:台湾)及びドリップ部門(優勝者:日本)の決勝戦では、両部門とも6名中3名がゲイシャ種含むパナマ産のコーヒーを使用した。

2 通商、自由貿易協定、国際経済関連

(1)イスラエルの経済協力による農業研究センターの設立
農業開発庁(MIDA)は、イスラエルとの共同による農業研究センターをロスサントス県に設立すると発表。同国からの農業技術支援やノウハウを得ながら、渇水時に適した農業手法につき研究する。2017年完成予定。
 
(2)BREXITによるパナマ経済への影響
3日、デルガド元駐英パナマ大使はラ・エストレージャ紙のインタビューに対し、パナマによる対英ビジネスにおいて、直接投資が主なセクターであるものの、同国ビジネスの依存度は低いことから、BREXIT(英国によるEU脱退)によるパナマ経済への影響は、限定的である旨述べた。
 
(3)ベルギーとの租税情報交換協定締結に向けた交渉
7日、経済財務省(MEF)は、チンチージャMEF次官及びインカピエ外務次官が訪問中のブリュッセルにて、今後、両国の租税情報交換協定締結に向けた協議を開始することで合意したと発表。なお、同国とは過去に二重課税防止条約協定締結に向けた協議をしたものの、合意には至らなかった。
 
(4)パナマによる「租税に関する相互行政支援に関する条約」への加盟
 15日、外務省はOECDによる「租税に関する相互行政支援に関する条約」(税務行政執行共助条約:MAC)に署名する意思があるとOECDに通知した旨プレスリリースを発表した。同条約を通じて約100カ国と租税情報が交換されることになる。なおパナマ政府は、情報の交換は自動的ではなく、相手国からの申請に基づくものになる点を強調している。
 
(5)コロンビアによる複合関税制度を巡る国内の動き
コロンビアがパナマからの再輸出品に課する複合関税は、WTO違反であるとする旨の報告書をWTO上級委員会が発表したことを受け、パナマ政府はコロンビア側に同関税制度撤廃に向けた早急な対応を要求。コロンビアが8月2日までに対応しない場合は、報復措置の導入を検討する旨発言。
また30日にコロンビアが同制度を11月まで延期する旨発表したことを受け、コロンフリーゾーンユーザー協会を始めとした国内業界団体は、政府に対し、報復措置の導入をするべきと主張している。
 
(6)サインマロ副大統領兼外務大臣とバク駐パナマ韓国大使による会談
22日、サインマロ副大統領兼外務大臣は、バク駐パナマ韓国大使の往訪を受け、両国の今後の協力の可能性について協議した。バク駐パナマ韓国大使は、パナマが予定している、国家インフラ整備プロジェクトに複数の韓国企業が参画の関心を示している旨伝え、今後、商業、観光、投資及び航空の分野で、両国の商業関係強化をしていくことで合意した。
 
(7)ベトナムとの二重課税防止条約署名に向けた動き
 22日、外務省はベトナムと、二重課税防止条約を8月にハノイにて署名することで合意した旨発表。

3 パナマ運河及びインフラ関連

(1)最初のLNG輸送船の通航
25日、「Maran Gas Apollonia号」が最初のLNG輸送船として、拡張パナマ運河(第三閘門)を通航した。
 
(2)拡張運河開通1ヶ月の通航実績
27日、拡張パナマ運河を通航したネオパナマックス船は55隻であり、2,000万ドル以上の収入があった旨報じられた。今後2~3ヶ月は1日に2隻のネオパナマックス船を扱う予定。

4 経済指標、経済見通し等

(1)1~5月期の経常収入
 経済財務省(MEF)は、1月から5月期の経常収入が前年同期比8.6%増であったと発表。増額の要因として税収増(12.8%)を挙げた。
 
(2)3月期の失業率
 会計検査院は、3月期における国内の失業率が、前年同月比0.4ポイント増の5.6%であったと発表。なお、失業率増加の背景として、国際的な経済活動の鈍化に伴うパナマ国内のサービス業(港湾や商業)の失速が挙げられる。
 
(3)1月~5月期のコロンフリーゾーンの経済活動
 会計検査院は、1月から5月期におけるコロンフリーゾーンの経済活動が、前年同期比15億ドル減(15.8%減)であったと発表。但し、5月期に関しては、前年比29.2%増と改善が見られた。
 
(4)6月期末の公的債務残高
 経済財務省(MEF)は、6月末時の公的債務残高が216億9,000万ドルであったと発表。また国営企業に関しては、ENA社(国営道路公社)が9億7,580万ドル、トクメン空港公社が6億5,000万ドル、ETESA社(国営送電公社)が2,980万ドルの負債を抱えると併せて発表。
 
(5)パナマにおける発電事業
会計検査院は、1月から5月期におけるパナマ国内の発電源として、風力が前年同期比259.1%増加したと発表。その他、太陽光及び火力の発電量が増える一方、渇水の影響で水力発電は昨年同期比15.7%減であった。
 
(6)経済指標は別添資料をご参照ください。