パナマ経済(2016年1月分)
平成28年2月3日
在パナマ日本国大使館
担当:大森書記官
TEL:507-263-6155
FAX:507-263-6019
担当:大森書記官
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主な出来事
● 5日、2016年官報第27941-B号に、基礎食料品22品目の小売り上限価格を据え置く2016年政令第1号が掲載。
● 14日、日本を訪問したインカピエ外務次官は、黄川田外務政務官とパナマ首都圏都市交通3号線整備事業の実施に向けた、日本の技術の活用等に関する両政府の意向を確認する「パナマ市における質の高いインフラの導入に関する協力覚書」に署名。
1 経済一般
(1)多国籍企業本部制度の活用実績
政府は、2012年に導入された多国籍企業本部制度(SEM)を活用してパナマに進出した企業が2015年末までに117社であり、投資総額は7億8,470万ドルであると発表。2015年に新たにパナマに進出した企業の中には、ヤマハ発動機やタダノなどが含まれる。
(2)基礎食料品バスケット22品目の小売り上限価格据え置き政策の延長
5日、2016年官報第27941-B号に、基礎食料品22品目の小売り上限価格を据え置く法律が、6ヶ月再々延長する2016年政令第1号が掲載された。なお本政令に基づき、対象品目の3品(ヤマイモ2種類、レンズ豆)の上限価格が修正された。
(3)コパ航空による定刻運行
コパ航空は、域内で最も定刻運行をする航空会社に与えられる賞、「On Time Performance Service 2015」を受賞した。同社が本賞を受賞するのは3年連続。
(4)パナマによるバラスト水管理条約による締結準備の開始
12日、バラカット海運庁(AMP)長官は、二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約(バラスト水管理条約)を締結するよう要請する書簡を外務省宛に発出し、右国際条約締結に向けた準備を開始した旨公表。批准国30ヵ国以上かつ、商船船腹量35%が発効の条件である本条約は、1月12日現在、批准国47ヵ国、商船船腹量が34.1%であり、パナマの締結により発効条件が満たされる。本条約の発効は2016年末もしくは2017年上旬になる見通し。
(5)エア・パナマ航空によるロアタン便就航
アルブルック空港を拠点とするエア・パナマ航空は、2月よりホンジュラスのロアタンへの就航を開始する旨発表した。就航頻度は月5回でいずれもチャーター便を予定。同社は、2年前から国際便の就航を拡大しており、現時点でコロンビア、コスタリカへ就航している。
(6)コロンビア送電網プロジェクト
国営送電公社(ETESA)は、コロンビアとの送電網プロジェクトに関し、2017年中頃の入札を予定している旨発表した。なお、稼働開始は2019年末の見通し。
(7)エミレーツ航空によるドバイ便就航開始の延期
14日、エミレーツ航空は、2月1日からの就航開始を予定していたドバイとの直行便につき、複数のラテンアメリカ域内航空会社とのコードシェア作業が完了していないことを理由に、就航開始日を3月31日に延期する旨発表。
(8)TAP航空会社によるリスボン便の廃止
ポルトガルのTAP航空会社は、ボゴタ経由のパナマ・リスボン便を、3月末に廃止する予定である旨発表。
(9)世界観光機関によるパナマ観光産業の評価
世界観光機関(WTO)は、世界で最も観光客が増加している国ランキングにおいて、パナマは7位(22%増)であったと発表。1位はパラグアイで97%増。パナマの観光客数は過去5年間毎年200万人を超しており、2015年は11月時点で230万人を記録。
(10)最低賃金引き上げの影響に関するレポートの発表
プライス・ウォーターハウス・クーパース(PwC)は、2016年からの最低賃金の引き上げによる民間セクターへの影響に関するレポートを発表。それによると、今般の引き上げ率(8.5%)は、民間企業の最適引き上げ率(3.1%)を大きく上回り、企業側に対して生産コストの引き上げもしくは、福利厚生の引き下げを引き起こす結果となったと分析している。
(11)輸出ワンストップサービスの開始予定
アロセメナ貿易産業(MICI)大臣は、輸出時の必要申請手続きを一本化することが出来るワンストップサービスを、本年中旬より開始する旨発表。同サービスでは、複数の省庁への申請が一括で出来る他、効率的な手続きによる時間的コストの削減に繋がることが期待されている。
(12)エル・ニーニョによる農業セクターへの影響
「農業生産システムにおける環境変動の影響レポート」は、2015年から2016年にかけてのエル・ニーニョ現象の影響により、2016年上半期における農業セクターへの損害額は約1億200万ドルに達する見込みであると発表。パナマの農業セクターは、ここ2年間の干ばつの影響により、すでに7,200万ドルの損害が出ていると言われている。
(13)コパ航空によるオルギン便就航予定
29日、コパ航空は、7月21日よりキューバのオルギンとパナマを繋ぐ直行便を、火曜日と土曜日の週二便就航する予定である旨発表。キューバへの就航は3都市目である。
(14)トクメン空港併設フリーゾーン設置プロジェクト
フィダンケ・トクメン空港公社代表は同社役員会において、トクメン空港に併設するフリーゾーン建設計画につき発表。同フリーゾーンは、トクメン空港に発着する貨物機が荷物を積み卸し出来る場所を設けることで、流通拠点としての機能が期待される。本プロジェクトへの参画には、コロンフリーゾーンにて運用する会社及びコロンビア企業が関心を示している。
(15)ネスレ社による域内拠点の設立
ネスレ社は、ラテンアメリカ域内拠点をパナマに設立する予定である旨発表。投資額及び設立場所は未発表。同社が設ける域内拠点は、スイス、マレーシアに次ぐ3カ所目である。
2 通商、自由貿易協定、国際経済関連
(1)ベトナム産加工魚製品の輸入停止
8日、パナマ食糧安全庁(AUPSA)は、ベトナムから輸入された加工魚製品にコレラ熱の原因となるバクテリアが発見されたとし、同国からの加工魚製品の輸入を一時停止した。
(2)WTO仲裁パネルの報告書に対するコロンビアの上級委員会への申し立て
25日、コロンビア政府は、前年11月に報告されたパナマから再輸出される繊維製品及び靴製品への課税を巡るWTO仲裁パネルの結果は不服であるとし、上級委員会へ申し立てる予定である旨発表。これを受け、26日、サラサル貿易産業次官は、コロンビアの対応は、履行の先延ばしであるに過ぎないと強く非難した。
3 パナマ運河及びインフラ関連
(1)パナマ運河拡張工事の進捗状況
21日、ロイ運河担当大臣は、2015年8月15日に発生した第三閘門における漏水の補修工事が完了したことを確認したと発表した。12月末時点のパナマ運河拡張工事の全体進捗率は96%。第三閘門建設工事の進捗率は95%。
(2)メトロ3号線建設計画における日本の技術活用に関する覚え書きの締結
14日、日本を訪問したインカピエ外務次官は、黄川田外務政務官とパナマ首都圏都市交通3号線整備事業の実施に向けた両国の協力につき協議を行い、日本の技術の活用等に関する両政府の意向を確認する「パナマ市における質の高いインフラの導入に関する協力覚書」に署名。
(3)第四運河橋建設工事プロジェクトマネージャーの発表
29日、公共事業省(MOP)は、第四運河橋建設工事の事業管理者業務(プロジェクトマネージャー)として、T.Y.LIN Internatioal Panamaが1,779万7,040ドルにて落札したと発表。
4 経済指標、経済見通し等
(1)2015年第3四半期における海外直接投資額
経済財務省(MEF)は、2015年第3四半期までの海外直接投資額が、前年同期費19.5%増の37億3,760万ドルであったと発表。
(2)世界銀行による域内諸国のGDP成長率の発表
世界銀行は2015年のパナマのGDP成長率が6.0%であり、ドミニカ共和国(7.0%)に次ぐ、域内第二位であったと発表。なお、2016年のパナマの経済成長率見通しは、6.2%であり、域内第一位になる見通しである旨併せて発表した。
(3)2015年新車販売台数
パナマ自動車販売車協会(ADAP)は2015年の新車販売台数が前年比7%増の6万4,737台であったと発表。また現在国内に流通している自動車は合計約120万台であるとされており、その大半がパナマ市及びチョレーラ市に集中している旨発表した。なお販売台数順は、トヨタ(1万3,642台)、現代(1万1,621台)、起亜(1万575台)、日産(7,717台)。
(4)12月期の消費者物価指数(IPC)
会計検査院は、12月期の消費者物価指数(IPC)は0.3%であったと発表。同数値は、2004年以降、最も低い数値である。
(5)2015年末時の公的債務残高
経済財務省(MEF)は、2015年の公的債務残高が前年比19億9,100万ドル(11%)増の202億5,000万ドルであったと発表。海外債務は12億9,600万ドル増の156億4,800万ドル、国内債務が6億9,500万ドル増の45億7,300万ドルであり、海外債務の多くがIDB及び世銀からの貸し付け金であった。
(6)経済指標は別添資料をご参照ください。