パナマ経済(2015年12月分月報)
平成28年1月7日
在パナマ日本国大使館
担当:大森書記官
TEL:507-263-6155
FAX:507-263-6019
担当:大森書記官
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主な出来事
● 2016年度国家予算は前年比5.5億ドル増の201億2,608万834ドル。
● 29日、経済財務省(MEF)は、2015年のGDP成長率が6%であったと速報値を発表。またインフレ率は0.2%に抑制されたものの、失業率はインフォーマルセクター従事者を含まず3.8%であった。なお、2016年のGDP成長率は、公共事業による雇用創出に牽引され6.2%になる見通し。
1 経済一般
(1)火力発電所の入札の実施
1日、同火力発電所の入札が行われ、国内・海外企業計14社が応札した結果、中国のMartano社が落札をした。2019年1月1日に稼動予定、発電量は350MW。
(2)コパ航空によるアルゼンチンペソでのチケット販売の停止
2日、コパ航空は、アルゼンチンペソでの航空券購入を不可にすると発表した。ブエノスアイレス及びコルドバ発着便の航空券は、アルゼンチン国外のクレジットカードによるドル決済のみ可能。なお、エア・カナダ社及びアメリカン航空社も同類の措置を取っている。
(3)エア・ヨーロッパ社によるパナマ・マドリード便就航
エア・ヨーロッパ社は、12月4日から2016年3月まで、パナマ・マドリード直行便の就航を開始した。なおフィダンケ・トクメン空港公社総裁は、同期間、エア・ヨーロッパ社は週1便を就航するが、週4便の定期便就航の可能性につき検討していく意思がある旨明かした。
(4)ムーディーズ社によるパナマの投資格付け
大手格付け機関であるムーディーズ社は、パナマの投資格付けをBaa2、見通しを安定的であるとするレポートを発表した。パナマは2015年から2017年にかけて引き続きインフラ整備を中心とする経済成長が期待され、同期間、パナマのGDP経済成長率は平均して6.5%ずつ推移していく見通しである旨報告している。
(5)2015年末時点におけるパナマ・パシフィコ経済特区の様子
2015年末、パナマ・パシフィコ経済特区の入居企業は164社の海外企業含む計252社であった。多くの企業が、オフショア業務、営業、不動産及びロジスティックなどに従事しており、経済効果は2014年の時点で約9億6,000万ドルと試算されている。
(6)小売価格上限を据え置く措置の再々延長
7日、バレーラ大統領は、基礎食料品22品目の小売上限価格を据え置く措置を2016年6月末まで再々延長する予定であると発言した。なお、本延長措置を受け、各産業団体は、インフレ上昇率が抑制されていることを理由に、本措置を撤廃すべきと要求している。
(7)コパ航空によるパナマ・ベリーズ直行便の就航
8日、コパ航空は、ベリーズとの直行便を就航(週2便)した。
(8)2016年の最低賃金の発表
23日、当国政府は2016年1月1日からの最低賃金を零細企業で5.5%増、その他企業で8.5%増と定める政令第293号を官報掲載した。これを受け、民間企業評議会(CONEP)は、適切な引き上げ幅は3~5%であると想定したのに対し、今般の賃金の引き上げ幅は大きく、零細企業にとっては、約43%の人件費増に繋がり、なかには経費軽減のため人材削減を強いられる企業もある旨言及した。他方、リベラ労働開発庁長官は、今次賃金引き上げは、労働者、経営者及び労働開発庁間で協議がなされた結果であり、企業負担額は最小限に抑えられ、企業側への影響は小さい旨発言した。
(9)エル・アル航空によるパナマ直行便就航に向けた協議
ベナル・エル・アル航空代表は、2016年末もしくは2017年初頭、パナマ・イスラエル直行便の就航を予定している旨明かした。同社は現在長距離フライト用の機体を発注しており、今後、パナマをハブとしたラテンアメリカにおけるルート拡大を視野に入れている。
2 通商、自由貿易協定、国際経済関連
(1)第7回パナマ・コロンビア租税情報交換協定協議
11月30日~12月4日、本件協議が開催された。当国外務省は、両国は合意に至ることは出来ず、第8回協議をボゴタにて開催する予定である旨明かした。
(2)パナマ・コロンビアWTO紛争処理委員会(パネル)報告書の発表
11月27日、WTO紛争処理委員会(パネル)が、パナマからコロンビアに向けて再輸出される繊維及び靴に対し、コロンビアが課している輸入関税は不当であり、WTO協定違反であると判断する報告書を出したことを受け、コロンビア側が不服を示したことに対し、アローチャ貿易産業大臣は右発言は適当なものではなく、両国間のFTA発効の障害となりうる旨発言した。
(3)パナマの租税情報交換措置に対する仏政府見解
21日、サパン仏財務大臣は、仏・パナマ租税情報交換に係るパナマ側の措置に不満である旨明かした。両国は、2011年に二重課税防止条約協定の締結し、租税情報の交換を実施しているが、「サ」大臣は、パナマの対応に不満を示しつつ、仏は2016年を通じてパナマによる協力状況を注視する旨発言した。これを受け、当国経済財務省(MEF)は、2015年10月より当国税関当局と在パナマ仏大使館が、租税に関する問題解決に向けて話し合いを進めている旨明かした。さらに、同省は2015年初頭に仏側より提示された問題は既に解決済みであること、また仏はOECDのグローバルフォーラムにおいて、パナマのフェーズ2移行に賛同した国の一つであると言及しつつ、仏の発言は不適当である旨発言した。
3 パナマ運河及びインフラ関連
(1)パナマ運河拡張工事
18日、キハーノ・パナマ運河庁(ACP)長官は、第三閘門の開通時期は漏水補修工事の進捗状況次第であるが、2016年第2四半期中に開通式を開催したい旨述べた。11月末時点のパナマ運河拡張工事の全体進捗率は96%。第三閘門建設工事の進捗率は95%。
(2)第四運河橋建設工事
7日、第四運河橋建設工事の事業管理者業務(プロジェクトマネージャー)の入札が締め切られ、T-Y-Lin International社(米)およびIneco-Egis-Ginprosaコンソーシアム(西仏共同企業体)の2社が技術提案書を提出した。1月初旬に結果が発表される見通し。
4 経済指標、経済見通し等
(1)2016年度の国家予算
2016年度国家予算が11月26日付けの官報第27916号に掲載された。予算額は前年比5.5億ドル増の201億2,608万834ドル。
(2)1月~10月期におけるパナマ船籍登録数(1~10月時点)
海運庁(AMP)は、1月から10月にかけてのパナマ船籍の登録数が、前年同期比▲10.3%減の2,596隻であったと公表。
(3)1月~10月期におけるコンテナ取り扱い量
海運庁(AMP)は、1月から10月にかけての国内港のコンテナ取扱量が前年同期比3.4%増の5,821,754TEUであったと発表。国内全体として増加したものの、バルボア港、MITなどの主要港における取扱量が減少した要因として、ブラジルをはじめとしたラ米域内の経済失速及びドル高等を挙げている。
(4)1月~10月期の訪問者数
観光庁(ATP)および会計検査院は、本年1月~10月までのパナマ訪問者数が、前年同期比13.9%増の208万8,000人に達したと発表。パナマへの訪問者数は5年連続で増加しており、ヒムATP長官によると、2015年末までに250万人を越えると見込んでいる。内訳は、171万7,000人が観光、20万1000人がクルーザーでの寄航、17万人が24時間以内の滞在となっている。
(5)1月~11月期の新車販売台数
新車販売者協会(ADAP)によると、1月~11月期における新車販売台数は、前年同期比7%増となる5万9,523台。12月末までに、前年の6万306台を上回る見通しである旨公表。
(6)10月期の消費者物価指数(IPC)
会計検査院は、10月期の消費者物価指数(IPC)は0.4%、また2015年1年間のインフレ率上昇は1%以内に収まる見通しである旨発表。
(7)11月末時の公的債務残高額
経済財務省(MEF)は、11月末時における公的債務残高が前月より1.5%増の203億2,500万ドルに達した旨発表。バレーラ政権発足時より15%(26億5,740万ドル)上昇した旨公表。デ・ラ・グアルディアMEF大臣は、2015年の支出は抑えられており、財政赤字対GDP比は1.8%に抑えられる見込みである旨発言した。
(8)2015年第3四半期のGDP成長率
会計検査院は、第3四半期のGDP額が89億5,400万ドルであり、経済成長率は、前年同期と同様の5.6%であったと発表。なお、1月~9月までの経済成長率は5.8%。
(9)10月の基礎食料品バスケット
経済財務省(MEF)は、10月のパナマ市およびサンミゲリート市における基礎食料品バスケットが、前月比▲0.49ドル減の$302.85であったと発表。特に収穫期を迎え安価になった野菜の価格が反映された結果となっている。
(10)2015年のGDP成長率(速報値)の発表
29日、経済財務省(MEF)は、2015年のGDP成長率が6%であったと速報値を発表。インフレ率は0.2%に抑制されたものの、失業率はインフォーマルセクター従事者を含まず3.8%であった。なお2016年のGDP成長率は、公共事業による雇用創出に牽引され6.2%になる見通し。
(11)経済指標は別添資料をご参照ください。
- 主要経済指標12月次(Excel)
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